記事一覧

No.3635 習近平が尊大さを誇示

2022.11.18

 G20首脳会議が終了した。結局、ロシアに対する非難決議は、非難を固辞するいくつかの国の影響もあって「避難とは別の評価をする国もあった」という表現を付帯する格好となった。今、世界を巻き込む形で起こっている経済リスクの大元はロシアのウクライナ侵攻にあることに異論はないだろう。しかし、ロシアの言い分は、大義ある特別軍事作戦に対して欧米諸国が行ったロシアへの経済制裁が原因だと主張し、子どもでもわかりそうな「鶏と卵のどちらが先か」の理論に終始している。そう主張するしかない状況にあるのは仕方がないにしても、国連常任理事国の立場にある超大国が放つ言葉として嘆かわしくもあり、情けなくもあり。この論理一辺倒で対抗していく道しかないのだろう。
 
 そして、この間隙をつくように中国が軍事力を増強し、それを誇示するかのような姿勢でアメリカに対抗し、米中2大国化への道を突き進んでいる。とはいえ、中国もウィズコロナの方向性を選択することなく、国内ではまだ小さいものの各地で住民運動が勃発している。また人口減少問題や高齢化社会の波が高まりつつある。この15日で世界の人口がいよいよ80億に達したが、来年には人口トップの座をインドに譲ることになるそうだ。マンパワーという意味で人口が多いことは自国のGDPを支える要因でもあるが、高齢化率が上昇するのは国家経済の不安定要素になるのは日本と同様である。
 しかし、先の共産党大会でほぼ命ある限り国家主席の座を揺ぎ無いものにした習近平は、今回のG20における首脳会談で、自らその尊大さを露わにした。ひとつは、就任したばかりのイギリス・スナク首相との会談予定を直前に中止し次回日程は未定のままだという。またカナダのトルドー首相に対しては会談内容を公表したとして本人が直接忠告したそうで、本人が直接注文をつけるのは外交の慣例としては異例のことだという。尊大というか傲慢というか、アメリカだけが中国と対等だというランク付けをあえて示す対応でG20に臨んだものかもしれないのだ。
 そしてご承知の通り、バイデン大統領には台湾への関与に不快感をあらわにし、当問題で一歩も譲る姿勢を見せることなく、岸総理との会談では尖閣諸島の領有権を主張したとされる。こうした外交姿勢は、彼が中国における権力を毛沢東に並ぶ大きな存在として君臨することになったことを示すものではないかと語る有識者もいる。
 と考えると、台湾有事は遠くないという見方も理解出来るところだが、肝心の国政は生ぬるいことこの上無い。暢気なものではないか。国会議員の3~4割は媚中議員だというからどうしたものだろうか。