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No.3093 沖縄県民投票に想う

2019.03.01

 前号の流れでもう少し書いてみたいと思います。
 沖縄の県民投票は、メディアでもけっこうな評論の対象になりましたが、昨日の米朝会談が世界を駆け巡る大ニュースになって、早くも話題の外になっているように感じます。今日、安倍総理と玉城知事が会談する予定のはずです。 前号で書いたTBSの龍崎キャスターに限らず、テレ朝の玉川キャスターなどにも常に感じるのですが、深慮熟考も分析もしないまま親キー局思想にそった言葉を発する傾向が強いようです。
 投票結果をあらためて見てみましょう。

 総有権者数 1,153,591
 投票者総数 605,385(52.48%)
 無投票者数 548,206
ということですが、投票の内訳は・・・
 反 対 投 票 434,273(全有権者の37.6%)
 賛 成 投 票 114,933
 賛 否 無 し 52,682

 この県民投票は賛成派の選挙運動はほとんど言ってよいほどなかったのです。逆に辺野古反対派の運動は熾烈を極めました。ふんだんに資金を使い、あらゆる手段を講じた運動が展開され、日米政府に訴える目的が遂行されたのです。もちろん、地元新聞の中立とは言えない動きも反対運動に拍車をかけました。
 しかし、それでもです・・・半数近い県民は投票所には行かなかったのです。運動の過熱さと盛り上がりを考慮すれば、反対の有権者は目いっぱい投票したと理解できます。反面、冷めているか関心がないかは別にして辺野古反対はしていない人が48.52%もいて、辺野古賛成投票数と合わせると663,139人になるのです。この人数だけで57.5%になります。投票の賛否無しは別にしての数値です。にもかかわらず、投票の実数値のみを対象にどうこう言っているのですが、はたしてそれでいいのでしょうか。
 当落のある人選びの選挙であれば投票率がたとえ10%でも勝ち負けは決します。しかし、今回の県民投票は元々勝負ではありません。県民の気持ちを計ると言うのが目的ですから、通常の選挙とはまったく意味も意図も異なります。そこを社会評論を生活の糧としているキャスターが理解出来ていないのはなぜかということになります。いや、理解しようとしていないか、投票結果に一も二もなく歓喜したということなのかもしれません。
 一部メディアが報じる圧倒的な差が出たというのは少々分析不測のせっかちでうがった判定だということが言えます。自分の想いにどうしても結果を結び付けたくなるのは、人間の在り方として不思議ではありませんが、こういった国の方向性に関連する社会問題に対して、あまりにも思想感情を表に出すキャスターが多すぎると思います。芸能人でも、最近の傾向として社会評論をどぎつく口にするタレントがテレビ界にはびこる流れが感じられますが、視聴率を経営指標にするゆえに暴言失言、言いたい放題のタレントが重宝がられるのは考えものです。特に若者が受けやすい刺激が案じられ、第二の山本太郎がこうした展開から生まれないとも限りません。ニュースでもバラエティーでも同じですが、今のメディア潮流に接する際に動じることのない信念が必要だと感じる次第です。