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No.3094 富山県高岡市の例

2019.03.07

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 近くの梅が真っ盛りですが、桜も早咲きになるのでしょうかねー。花に癒される季節到来で心わくわくなのは良いのですが、世間では、かくもせちがらいニュースが続くものです。
 皆さんは富山県高岡市という街をご存知でしょうか。人口17万人超の富山市に続く県2番手の都市で、前田利家の名残を残す歴史情緒にあふれる街です。小生も何回か旅先に指定したことがありますが、瑞龍寺というシンメトリーが美しい静かな寺院が好きで、行くたびに必ず訪れています。北陸では永平寺がもっとも知られた寺でしょうが、規模は別にして瑞龍寺もなかなかのもので、富山県唯一の国宝です。
 街の主要道は広く、路面電車も走り、ゆったり感を与えてくれる風情が高岡市の特徴ではないかと思います。いや、そう感じていたのですが、今、この街は市民サービスが滞るなど大変なことになっているというのです。
 その理由は、無駄な公共事業に税金を投じ過ぎ、財政状況が立ち行かなくなってしまったということです。市民会館や公民館、コミセンといった施設が軒並み閉館状態にあるといいます。人件費が賄えないなど資金不足が顕著になっており、3月定例議会では市長がお詫びの所信表明を述べるまでになってしまったのです。
 無駄な公共事業の代表は、北陸本線、氷見線、城端線の乗り換え駅であるJR高岡駅前の再開発事業だというのですが、北陸新幹線の開通により、同駅の利用者が増え、地域発展が望めるとふんでこの事業にかなりの税金をつぎ込んだ結果がもろくも当てがはずれてしまったとか。
 観光バスの発着は新幹線の新高岡駅利用が多く、わざわざ乗り換えてJRの駅まで行くことはないようですし、逆に市民は新幹線の駅まで車を利用し、駅周辺の駐車場を使う人が多いとか。それはそうですよね。新幹線の駅は完成後、単独でその周辺が発展していくことが常のようで、必ずしも、それまでの中心駅とリンクして発展するとは限らないわけです。
 行政の見通しが甘かったことは否めませんが、それにはいろいろ裏があるのではないかと思えるのです。ここからは推測の域を出ませんが、市長のポピュリズム思考が禍いしているように思えてならないのです。もちろん人柄や信念にもかかわることですが、首長は選挙のしがらみや街の有力者との良好な関係を構築することに腐心する面が拭えません。また、業者の中には公共投資を社業のなりわいとしている会社もあるので、そこには自然と利権と癒着という問題が生じてきます。そうしたころが発端となって、談合、贈賄、収賄といった癒着犯罪が生まれることになります。名前を出して恐縮ですが、上尾市の市長と議長による汚職事件などはその最たる例です。
 おそらく高岡市もそんなことが原因のひとつにあるのではないかと思うのです。北陸の建設業者でもいくつかは東京支店を設け、手広く事業展開をしている会社もありますが、地場の総合建設会社の下に連なる土木、水道、電気、給排水といった設備会社は数えきれないほどあるはずです。そうした会社が成り立つための事業としては自治体の発注する金額を上回るものはそうそうはありません。
 反面教師の意味合いから、今後、詳細を調べてみたいと思いますが、もう一つ言えることは、指定管理業者の決定に至る経緯にも不自然な状況があると思っています。それはどこの自治体にもあるものでしょうが、幸手市にも感じることです。そもそも、税金をコストと考えて見積発注から業者選択に至るまでどれほど神経を張り巡らしているか・・・そこが市民不在ではあかんということです。