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No.3074 幸手市長市政報告に疑問

2019.01.07

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 既に昨日のことになりますが、部分日食を確認できました。10時30分頃、サングラスを2枚重ねて空を見やると、はっきり左上が欠けているのが見えました。天体ショーは流れ星探索を楽しむことが多くありますが、太陽観測は機会も少ないのでなかなか出来ずにいました。今回は満足しました。

 さて、満足には程遠いと言わざるを得ないのが、先ごろ折込されていた「埼玉県幸手市長 渡辺くにお 市政報告」です。こんな内容のチラシを発行する意味も気持もわかりません。久しぶりの辛口批評となりますが、どうにも理解出来ないことが多すぎる市政報告ゆえのこととご理解ください。わかりやすいように箇条書きで示したいと思います。
◆橋上駅舎のイメージ図に両面全体の6分の1を使用する必要があるかどうか?
 ちなみに、同時期に発行されたタウン誌「アットホーム新春記念特別号」にも同図が掲載されていますが、出来うるならカラーの市政報告では近況を実写真で示すなどしてもよかったはずです。これはセンスの問題でもあります。
◆町のトップが個人的に、つまり政治家として発行するチラシにもかかわらず財政数値がまったく示されてなく、ただただ自らが成し遂げたと言わんばかりの手前みそな結果報告のオンパレードであること。
 市長が為すことは市民の血税を使ってのことゆえ、施策別にいくら使い、財政状況がどうなっているかを自ら示すべきです。そこの部分は広報やホームページを見てくれでは、市政報告の意味がなということです。それこそが市民に対して本質的な感謝と報告を意味するのではないでしょうか。
 例えば、巨額を投じた駅舎については、当初から自由通路の幅に疑義がありました。イベントや災害時避難場所の意味がどれほどのものかも建設費との拘わりで紹介するのがトップのトップたる対応ですし、記念式典では1000万円を大きく上回る額が投じられるそうです。モニュメントにも600万円という税金が使われるとか。そうしたことには一切触れていません。
◆報告とはいえ、今後のことは総合振興計画のみです。12月広報では人口が38名減、世帯が28増、1月広報では人口が64名減、世帯が9増と発表されています。こうしたことへの具体的想いを市長としてどう考えているのか、せっかくチラシを出すなら、こうしたことこそ市民に示すべきです。総合振興計画は5年にわたるものです。5年後には人口が5万人を切るかもしれないのですから、市長として常に意識しているところを示してくれなければ、市民は不安でなりません。
◆秩父市、ベナン、さくらサミット・・・随分大きなスペースを使っていると感じますが、いかがでしょうか。特に、防災対策が今問われているという時期にあって、そうした記載が秩父市との協定締結だけでは寂しい話です。具体的施策を講じたものがまったく見当たりません。防災関連で報告することが他になかったということでしょうか。
◆郷土資料館オープン・・・未だ忘れることのない旧香日向小学校と旧准看護学校の物々交換という残念な思いが残る施策です。香日向小学校は月20万円で30年間にわたり准看護学校に賃貸契約し、空き家になった准看護学校を郷土資料館としてリニューアル費用を投じてオープンしたもので、実態はいろいろ問題のあった物件と関係の深い施策と私は理解していますので、あまり自慢してもらいたいことではありません。ついでに言うなら、市議になって間もない議会で、私は旧吉田中を利用した民具資料館の管理の粗雑さを指摘したことがありますが、15年後に物々交換の結果、その隣の物件を利用することになるとは思いもよりませんでした。旧民具資料館はどうするのでしょうか。どこぞに安く売ることなどないようにお願いしておきます。
◆総合振興計画は、行財政運営の指針として策定することが定められており、それは市議会基本条例第14条の1項にも明記されているし、2項では都市計画マスタープランの策定まで明記されているのです。つまり、今までのものに代わり新たなものを創らなければならないということです。したがって、いち早く市長は市民に今回の市政報告でそのうちのいくつかを紹介してもいいはずですが、何にもありません。作ったこと自体を自負するだけでは広報さってを見ればすむことです。
◆産業団地の報告には実際の写真を使用していますが、内容は随分あっさりしています。町田市政で確定した事業の延長に過ぎませんし、企業の操業もかなり以前から始まっており、今さらではありませんか。もしも書くなら、全企業に直接幸手市経済にどれほど影響がが考えられるのかを協議確認して、その数値的な部分を示すことくらいしてもよさそうだと思いますがどうでしょう。市長が街のトップセールスマンと意識するならあってしかるべきでしょうね。そもそも、そういった行動をしているかどうかです。
◆広報さって1月号にも市長の挨拶が掲載されています。そこには、市民目線、スピード感、現場主義、能動的対応といった聞こえの良い言葉が並んでいます。№3071でも書きましたが、古川橋の耐震工事が遅れているのはどうしたことですか。この事業は防災対策の一貫のはずです。また、土地開発公社との土地売買で疑義が生じているのは市民目線と言えるのですか。現場主義という言葉の本質を理解出来ているのですか。
◆今後の展開が釈然としない西消防署の件も触れられていません。市長はどうしたいのか、そのために何をしているのかをここで示さない手はないと思うのですが無関心ということでしょうか。
 このくらいで打ち止めにしておきますが、市民はバカではないということを理解していないことが、今回のチラシで証明された感じで、とても50,000人市民を束ねるトップの報告とは思えませんでした。チラシの軽薄さに悲しさを通り越し憤りすら感じます。悪しからず!

No.3068 動き始めた県知事選

2018.12.21

 気温は2℃でも朝から雲一つない快晴です。
 しかし、県政界は暗雲とは言わないまでもいろいろな雲が漂っている現状で、来年の知事選に関するニュースが報道されました。それは、埼玉県町村会が上田知事への出馬要請を考慮しているというものです。おそらく数日中には正式に行われるものと小生は推測しています。
 埼玉県は40市22町1村という行政区割りになっており、まず先陣をきって22町1村の支援が上田知事に向けられることになります。残す40市の動きはいかに?といったことになるわけですが、市町村会全体の同一性を図るために町村会が舵切りの船頭役を担ったものと理解しています。
 県議会では、あらゆる場面で上田知事と自民党県議団のつばぜり合いが続く状況にありますが、上田知事の自作条例破りに対する自民党の怒りはどうにも終着点がないまま来夏の知事選までもつれそうです。
 問題は、自民党が既に酷暑の選挙まで7ヵ月ほどになっているにもかかわらず候補者が示されていないということです。前回選挙の轍を踏まないためにも早めの候補者選択が望まれるところですが、後出しジャンケンのほうが有利と思考しているのかどうか凡人には理解しにくいところです。しかし、名の売れた人物で上田知事と対等に選挙戦を戦える著名人という意味では、これといって決定的な人物がいないのが実情ではないかと小生は感じています・・・。
 前回は、天野教授の担ぎ上げ作戦が頓挫したことから、今回は同じことが許されない状況です。自民党が混とんとしている様子を眺めている上田知事にしてみれば、それこそ自ら狼煙を揚げる必要は無く、県政重鎮軍の支援表明という形で、まさに戦場各地から63もの旗が翻ればなにより県民に訴えることになります。各市町村にはほぼ自民党県議がいることを思うと、首長と自民党県議の関係も複雑なものとなり、何らかの影響が出るのはやむを得ません。しかし、それでいいかどうかを在野の立場でと考えると、地域事情が複雑な政治状況や人間関係に左右されるのはけっして良いこととは思えません。
 自民党にとって厳しいのは、上田県政にさしたる汚点がないことでしょう。加えて、国会議員と知事4期の経験から、全国に人脈は広がっている中で全国知事会の会長にまでなったのです。いくら県議会最大会派の自民党と言えども上田知事相手の選挙は別物と考えるしかありません。
 上田知事についての県庁内の評判は私の知る限り様々ですが、世の中には100%というのはないと思えばそれもしかりでしょう。とにかく、こと選挙という場面で県民有権者がイメージするのは大過なく知事職を全うしているという現実と我が街のトップが応援しているという流れです。年齢的にも69歳ならまだまだです。予測されていたことではありますが、今日の報道に自民党がいったいどのような対応を思考するのか。それによってこの戦いの全体像が見えてくるわけですが、いったいどうなるものやら。

No.3059 どっちもどっちの国会審議

2018.11.27

 国会が入管法をめぐって荒れている。荒れる原因は、来年の統一地方選挙をにらんでの政権のイメージダウンをあぶり出そうとする野党の目論見があるとみられる。また、更なる根源として改憲論議に入らせたくないこともあるだろう。それが証拠に憲法調査会の招集がなかなか実現せずにいる。連立を担う公明党代表の一昨日の発言では、来年中の発議もままならないとのことであるから、この点では野党に強気かつ安心感を与えているものと思う。
 ともかく、メディアは入管法の審議時間が20時間足らずという点に疑問を投げかけ、野党同様に強行採決だとして国会運営のまずさを指摘する。例によって、国政国益論からはずれたテレビ局では、国会運営の在り方がすべて自民党安倍政権の問題であるかのような報道に撤している。26日の予算委員会での立民の山尾志桜里議員の質疑姿に疑問を発する局は皆無である。上から目線で自分は総理としか質疑応答しないといった姿勢で、法務大臣の答弁を拒み、かといって総理が発言するともういいですよと失礼極まる態度。野田委員長の発言にも応じず甲高い声で質問席からやじり、しまいには総理に対して「器が小さい」と言い放つ。こうした発言はもはや罰則対象にもなり得る発言だと思うのだが、強気な国会運営はこれまたマスコミの材料になるので、好き勝手の言いたい放題状態である。これでは本質の審議が足りなくなるのもやむを得ない。
 法務委員会での審議の実態が不明だが、本来は、外国人労働者を安上がり人材の道具的論理でしか対応しない悪質企業に対する罰則問題だとか、人材不足で倒産が相次いでいる建設業界の実態などを深堀りする質疑が無ければならない。米中貿易摩擦の影響で経済に翳りが見える状況でもあるから尚更ではないか。
 埼玉県庁前に本社のあった建設会社が東日本に広く応札をし、高額な建設契約を請け負ったものの、結局はそれらの工事を投げ出す形で倒産したのはつい最近のことである。それにより、宮城県の復興事業、東京のオリンピック関連事業、埼玉県内の学校改築事業などのゆくえが暗礁に乗り上げ、学校は予定の4月完成が不可能となり7月にずれこむことから大きな問題となっている。
 産業界からの要望が大きい法案とはいえ、それに応じる思考が優先してはならないが、現実をもっと把握した建設的議論がなされるべきなのに、野党はとにかく大臣たちの言質をとり、有権者の目が野党に向くことに躍起となっているように感じる。支持率が下がり続ける現状打破に対する国会戦略ともとれるが、敵失で支持率を上げるよりは真っ向から議論をぶつける方が国民の理解は得られるはずである。そういう点では山尾議員の以前と変わらぬエキセントリック一本やりの質疑には首を傾げざるを得ない。それが手柄としての評価につながるかどうかは有権者の判断に拘わることでもあるが、国会関連のニュースを見ていると、立民が野党第一党のせいもあるが、辻元清美や山尾志桜里といった議員が野党の顔として毎日画面いっぱいに出番があることに、一時代前の国政がなつかしく思えてならない。それは野党に大物感を漂わせる議員が少なくなったことが原因なのかもしれない。
 審議が参議院にうつると、今度は立民幹事長の福山哲郎議員が審議をストップさせる質疑手法を執拗にぶつけてくるのは間違いなく、政治を目指す人達にとって毒にはなっても薬にはならない国会運営が続く。

No.3055 消えたはずの政治家の謀議

2018.11.11

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 消費税や外交上の議論が進まず、相も変わらず大臣の首獲りに邁進する国会論戦。あきあき辟易といった思いがしてならない。委員会室がまるで取調べ室のようではないか。
 地方が沈みかけているにもかかわらず、地方創生論議をするでなく、同大臣のスキャンダル追及に明け暮れている。片山さつき大臣の疑惑は確かに明朗ではないが、辞めさせて新大臣に代わって、はたして合意納得の上で国家国民のための議論が進むとも思えない。任命者の責任が問われるのか、当の大臣が悪いのか、本質を脇に置く野党が無責任なのか・・・現野党の国民支持率は大臣の首を獲ったからといってさほど上がることもないだろうし、与党の支持率が若干低下するぐらいのことではないかと思う。なぜなら、国民はあの民主党による魔の3年3ヵ月を忘れてはいないからだ。外交も経済も低下し、なにより国家の威信を貶めた政権にこりごりしているのが現実である。
 年金処理の不始末の責任をすべてかぶせる形で国民は自民党にお灸を据えたが、革新リベラル政権は政権運営そのものにお灸を据えられ、その復活は悪夢の再現と感じている国民はまだ相当数いるものと思う。自民党にどことなく嫌悪感を持つ国民も、政治的というよりは人情的判官びいき感覚なのだが、肝心のひいきしたい野党がいないというのが日本の政治の実情ではないだろうか。
 そうした政治環境にあって、そぞろお出ましになられた政治家が3人、都内のホテルで会合を持ったことが報道されている。声掛けは前原誠司氏、あとは小沢一郎氏と橋下徹氏。ほほー今頃なんだ?といったメンバーである。
 橋本さんを除く二人は現職とはいえ国政の表舞台から消えた人。小沢氏は一昨年の選挙で息絶え絶え状態に陥った様子だったが、沖縄知事選でかすかに生きていることを知らしめ、復活の気配を漂わせている。まるで起き上がり小法師の様な人だ。前原氏は党首として究極の選択をしたものの、民主党の破滅を招き、多くの逃亡議員を生んだ元凶となった。橋本さんは政治家としての復帰はないと明言しているが、この世界は何でもありということで、それを信じている国民は少ないはずである。「政権奪取論」という書も、タイトルからして地方政治の頂点に立った経験を持つ橋本氏の思いが書かせたものと考えるのが自然である。ならば、国政の頂点に立たせてあげようとでも小沢氏に吹き込まれたかどうか。小沢氏ならやりかねない。まずは、その前段として橋下氏に来年夏の参議院選への出馬を促したか、それとも憲法改正や消費税増税に絡めて解散同時選挙に持ち込む戦略の密談であったか。
 三国志演義の桃園の儀よろしく義兄弟の契りを結び、ともに戦うことを誓ったか、それとも薩長同盟に国民が持つ正義のイメージを結び付けて国政奪取をシナリオ化する謀議であったか。実は、声掛けは前原氏ではなく小沢氏が前原氏に持ち掛けたというのがこの会合の実態ではないかと推測するが、はたして真実はいかに。
 強気な口達者でなる橋下さんはトランプに重なる部分もあり、同タイプの元首が各国で実現していることから、マスコミが話題性を高める役割を発揮すると橋下野党に浮動票が大きくうねる可能性は十分考えられる。それが日本の未来にとってどうなるのかも含めて、謀議の中身は神のみぞ知るである。

No.3048 タウンミーティング 感想①

2018.10.27

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 26日19時から掲題の行政現況説明会が西公民館で開催された。
 私は、現在充電中ではあるが政治のかたわらに身を置く者として、現行行政の実態とまた幸手市の未来への関心から参加した。
 また、今年度限りの任期ではあるが、地域における自治会長・区長という立場にあることから、地域に関連する何かがあるか!との予感も参加を促すきっかけになった。そうした空気を助長する声も私の周りに強かったが、どうやら声だけだったようで拍子抜けした。30名ほどの参加者のうち香日向住民は見る限り5名程度、職員が3分の1ほどいる感じで、住民の関心が相変わらず低いことがうかがえた。栄団地、天神島といったところからの参加者がいたことは特筆されることであった。
 約1時間ということで始まった会の冒頭30分は市長による市政報告で、その後は参加市民による質問・意見・提案・要望なんでも結構の時間が40分ほど設けられた。そもそもこのタウンミーティングと称する住民説明会のサブタイトルが、“渡辺市長と語ろう”となっており、まるで市長のミニ集会的政治活動を意味するようで若干の違和感は拭えない。市民の中には、税金を使っての街づくりを選挙対策にしているとか、職員に応援させているという声があるようだが、それは良くも悪くも税金の使途を市民のために考えるのが首長の役目であるから、全面的にそうした批判が当たっているとは思えない。ただ、自らが30分説明する内容はいいことづくめで、質問への対応はほとんど部長にさせる手法では市長と語ろうという状況ではないし、1年後が市長選という時期でもあるので、現職市長の立場にある者としては重々誤解が高まらないように思慮するべきであろうと感じた次第。
 実際に配布されたレジメやパワーポイントによるプレゼンテーションを見る限り、なんという素晴らしい街なんだろうと感じさせる内容であり、市長もそれに合わせて話す流れで、課題や問題点に言及するでもなく、とくに財政や行政課題別の現状を数字で説明するといったような点は皆無であった。

No.3044 議員定数にまつわる話

2018.10.13

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 沖縄県与那国町で議長が決まらない状態が1ヵ月近く続いているという。議員数が10名で、町長与党と野党が5名づつに分かれていることから採決権のない議長職をどちらも拒否しているというのだ。投票で決まるたびに辞退するという状況が続いている異常事態。これでは議会が機能しないのは当然である。他の近隣自治体との連合協議の場に出ることも出来ない。議会も議員も何のためにあるかという嘆くべき事態だ。議員定数削減も功罪いろいろあって、市民感覚では減らせの意見が多いのだろうが、減らしすぎにも問題はある。それは別にして減らす場合にも奇数の定数にしておく方が与那国町のような問題にはならないし、それが一般的ではないかと思う。西のはての小さな町のことではあるが、どこに限らず、議会とは言うのは優位性にこだわってあれこれ揉めるところである。

 さて、埼玉県議会でも議員定数をめぐって綱引きが続く状態となっている。自民党県議団と上田知事執行部との前回選挙戦から続く因縁も気になるところだが、自民党県議団と野党会派との意見対立が続く議員定数削減及び選挙区削減の攻防も選挙の前哨戦的な位置づけとしてお定まりとなっている。知事と自民党の軋轢はいつかは落ち着くであろうし、また、そうあってほしい問題である。いろいろな人から「いったいどうなっているんだい?こんなのいつまでも続けていていいとは思わないけどな」「自民党県議団はどこまでやれば収まるのかね」といったことをちょくちょく言われる。議会運営上、知事と最大会派の泥沼状態が長く続くと、こういう考え方が主流になってくるようで、これが県民の一般論になりつつあるように思う。上田知事もかなり強気な方のようで受けて立つからややこしくなる。自ら制定した条例破りを認め、了解を得る行動をすべきだったのだが、もはやそれで収まる話ではないようだ。

 議員定数の削減については、野党が提案する内容には自らを利する思考が見え隠れする。野党は「コスト削減と身を切る改革」を前面に押し立て、県民の気持ちをそそる戦略を前面に押し出す。いわゆる建前である。しかし、その狙いは別のところにあるのははっきりしている。たとえば、東3区の定数を2から1にというが、ここは自民党県議団の領袖とも言うべき重鎮がいる選挙区である。上田知事に対する県議団のスピリットの権化とも言うべき大物議員に引退を示唆する目的が垣間見られる。実際、それが真意と考えられる。
 また東1区と2区を合区にし、定数を2にするというのは、現在どちらも自民党議員が長期に独占している議席なので、複数区にすることによって1議席を確保しようと画策しているのは間違いない。そして、この1区行田にも自民党県議団で議長・団長の経験者かつ県連の幹事長という要職にある議員の存在に的を絞っていると推測する。
 これと同じく、さいたま市に10区ある選挙区を一気に5区に絞り、それぞれ定数を3にするというのも、定数に変化はないが複数区を増やすというのが野党にとって有利に働くことを意味している。つまり、小選挙区を中選挙区にすることによって野党議席を増やせるとの狙いである。これらを称して「民意を広く反映させるため」と理屈付けているが、要するに、自民党県議団の過半数獲得を阻止するための議会改革なのだ。
 確かに、上田知事に対する執拗な議会対策は、そのたびに新聞報道となり、小生の周りでも「自民党はいい加減にした方がいいよ」とか「嫌がらせもここまでやると逆に良くは思われないと思うがな」といった考え方が広まっていることは無視すべきではない。なにより、知事選への対抗馬を出せない状況は自民党も県民に対して訴えかけが弱いのであって、抗争をよく思わない声には耳を傾けるべきだろう。小生の所属政党であったことから常に動向が気になる自民党県議団ではあるが、なにより県民の立場にかえって思うのは議会の正常化である。過半数の論理を駆使しすぎるのは果してどうだろうかと思わずにはいられない。過半数とは重要ポストを確保するということがまずはあるのだから、あとは大人の対応として議会運営をリードすることが県民が求める議会ではないだろうか。
 半面、上田知事に対しても根強い批判はある。4期目は結果的に許されたが、5期目は県民の支持が強いとか首長たちの支援もあるといった4期目と同じ理由は通じないという声が少なくない。だからこそ、自民党県議団はルールに則って上田知事に対峙を続けているのだろう。
 それにしても実現性のない野党の定数削減案もいただけない。話は繰り返し前後したが、議会の正常な運営と機能は永遠の課題にしてはいけないと考えるが、いかがなものだろうか。。

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