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No.3181 コンプライアンスの無い街

2019.09.21

 ラグビーワールドカップが開幕した。防具に身をまとったアメリカンフットボールと違い、シャツと短パンだけの大きな身体がぶつかり合う迫力は、見る人の心を掻き立てる。プレーが流れるように楕円のボールを追い続ける点でもアメラグと異なる。ワクワク感というのか、試合が進むうちに興奮の度合いが最高点に引き込まれる点ではナンバーワンスポーツと言ってもよいのではないだろうか。1ヵ月半にわたる熱戦で、いったいどんなドラマが繰り広げられるのだろうか。

 ドラマが繰り広げられると言えば、市長辞職で前倒しになった幸手市長選。おかしな動きが展開しているようだ。幸手市には、およそ100人強の区長さんが各地域で地域福祉やコミュニケーションの醸成に尽力されている。その区長さんを地域ごとに束ねる代表区長が11人いるのだが、このうちの何人かが選挙運動をしているというのだ。これは当然のこととして尋常ではない。
 区長という立場は、非常勤公務員という身分ゆえ、警察、消防、教員、役所職員等々の公務員同様、選挙活動はご法度の領域となっている。
 

 それが、候補者を連れて戸別訪問で紹介して歩く、集会の案内を配る、記者会見に同席するといった行動を実行しているのが実体なのだ。秘密裏に動くといった類ではなく表立っての活動であるから、もはや何をか言わんやなのである。
 中には、辞表を市の市民協働課に提出した区長もいるようだが、地元に表明していなければ、選挙が終わって元通りといった体裁だけの法逃れと指摘しておきたい。代表区長が忙しいことは、私も昨年経験しているので理解している。順番と抽選で決まる香日向の場合と違い、他の地区では何年も同じ人が代表区長を続けている例が少なくない。前述したように忙しいことは事実なので、他に手を上げる人がそうはいない。そのような重職なので10年以上も代表区長を続けるという例もある。当然、地区の顔にもなってくる。と言うことは、辞表とは名目上で、選挙が終われば他にやるという人が現れないと考え、選挙が終わったら復活すればいいという予定の行動と言える。
 そういう人たちが、選挙で暗躍どころか表だって特定候補者の選挙活動をすることが許されていいはずがない。

 そもそも、全国に幸手の恥が波及した原因は、前市長の倫理、道徳、モラルといった人としての資質欠如に加え、深夜のバーで女性への暴力行為という、まったくもってコンプライアンス精神が欠如していたことによる辞職から、新市長選挙という経緯をたどっているのだ。
 この経緯をふまえれば、清新な幸手市に生まれ変わらなければいけないのに、今度は街の重鎮とも言うべき代表区長がコンプライアンス精神をかなぐり捨てて、やってはいけない選挙活動を実践している現実に直面している。この現状は幸手市にとって恥の上塗りでしかない。いや、この状況が広くは知れることは無いとしても、違法行為が街のリーダーによってまかり通っている現実は、幸手市を清新な街にと訴えるのがむなしくなるし、良識ある市民に申し訳ないことだと思う。幸手の政治にかかわる諸悪の根源はこうしたところにあるのかもしれないと思うと怒りと悲しさがこみ上げてくる。
 今回の選挙は、市民にとっての出直し選挙だと思います。それは、幸手市民の民度+良識=民力にかかわることです。
 だ・か・ら、主役は市民!!! 顔を見て、握手をして、感じがいいから入れたというのでは真の市長が選べるわけがありません。それは、同じことの繰り返し、過去の二の舞というドラマを生むだけ。正義と違法のぶつかるトップ選挙にどんなドラマが待っていることやら。