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No.3018 経験と記録を上回る炎熱列島

2018.08.09

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 41度超えが熊谷、名古屋、岐阜などで現実化した。40度前後の気温というだけで辟易するほどだが、もはや夢でも幻でもなく、夏の在り方は確実に変化している。
 「これは人の命にかかわる温度です。どうぞエアコンなどの利用で体調管理に心がけてください」というニュースキャスターの言葉に、欧米の実情もふまえると、日本だけでなく地球全体が未知の世界に突入したような気がしてならない。例えていうと、映画で観るゴジラ上陸に際し、地球の終わりがごとく叫んでいるアナウンサーにも似た感じではないか。しかしながら、人間は何千年、何万年をかけてこの気温変化に対抗しうる進化を遂げるのかもしれないが、今を生きる私たちにとって、いつまで続くやらの心境は至極自然のことである。
 文科省が9、10月に入っても各地の気温は平年以上の可能性があり、とくに9月はまだ予断を許さないとして、熱中症対策で学校の夏休みの延長や臨時休暇を検討するよう全国の教育委員会に通達したという。炎熱列島は長い間の学校慣習まで変えようとしている。なんともはやである。もちろん、こうした事前の対策は事が起こる前だからこそ効果も価値もあると考えれば、文科省の措置は災害予防対策として前向きなものと理解できる。
 学校教育法施行規則によると、校長は、非常時に授業を行わない臨時措置を発することが出来るそうで、文科省は熱中症を非常時と認定したということになる。100人以上もの方が亡くなられている現実は、気が重いことこの上ないが、今後の夏の過ごし方をあらゆる角度から考え直さないといけないことを示唆しているということであろう。
 台風がもたらす雨で水害が発生している地区には失礼にあたるが、連日の高温に逃げ場を求める状況の中、台風の来襲が暑さ逃れに一役かっているのは、なんとも皮肉なものだ。
 しかし、私は常に思うことがある。ここのところたびたび「幸手は災害が少なくていいわねー」といった言葉をよく耳にするが、その都度「神戸、輪島、東日本、熊本、茨城常総、大阪、西日本といった近年大災害を受けた地区でも、それがあるまでは災害の少ない地区だと住民は感じていたはず。記録的だとか経験のないといった言葉が躍るのはあくまでも想定外の災害を意味しているわけで、幸手に限らず、世界一の災害列島と言ってもおかしくない日本は、国土全体が明日は我が身と考えておくべきです」と申し上げることにしている。地区によって災害の種類が限定されることはある。埼玉県東部では土砂崩れや火山噴火の危険性はないが、地震と水害の可能性は常態的であると言っても過言ではない。ゆえに、行政が少ない予算ながら最も力を入れるべきは災害対策であると私は考えている。古くも新しくも、さして機能も便利度も変わりがない駅舎建築に30億円も投じる行政の在り方が良いかどうかは市民がしっかり考え、評価するべきである。機能も便利度も大きく変わるのは、東西自由通路の立ち上げで十分であり、西口の区画整理事業を駅舎の影響で遅らせる行政に大いなる疑問を感じている。もっとも駅舎は来年4月には竣工するらしいので、今更であるのは重々承知の上の話としてご理解ください。