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No.2616 大きな変化、どうなる知事バトル

2015.06.23

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 県議会定例会初日は12分足らずで終了した。私が予測した不穏な動きもなく、平穏かつ一般的な初日の流れであったが、知事の説明が短いこともあって、いつも以上にあっけなく終わったという感を強くした。
 淡々と議長が連絡報告事項を発言し、年度の最初の議会であるので、知事が議員へのねぎらいと感謝の定例句を述べたあと、一般会計予算を中心に議案説明をして、「慎重審議をお願いいたします」と結んで、議長の「これにて散会します」で終わったのである。
 ただ、知事発言の短さはどうしたことだったのか。

 
 テレビ埼玉での10時からの生放送は終了後の時間をもてあますかのような県内風景の録画が流されることとなった。これは逆にごくごく普通のことなのだが、少々物足りない感じではあった。
 25日から始まる一般質問で、昨今のような暴れ天候のような内容がありうるのだろうか?
 

 さて、県知事選でいくつかの事実と新情報が報道されている。
◆自民党県連会長である新藤義孝前総務大臣が天野篤順天堂病院教授の出馬妖精を断念したと発表した。ご本人は当初前向きだったようだが、「選挙戦にあたって、皇室の政治利用になるのではないか」との指摘や「医療の現場に欠かせない人物」といった指摘が相次いで、やむなく見送らざるを得ないこととなったようだ。
 私としてもたいへん残念な思いがしている。政治家としての可能性は高いものを有していると感じていたからであるが、すでに各種の怪文書等で誹謗中傷されていたことを考えると、選挙戦に入ってからが更にヒートアップすることも予測され、ご本人の意志が薄らいだと思われる。

◆共産党は、これまでの一連の状況に対して様子見の状況だったと思われるが、この段階で埼玉労連議長の柴田靖彦氏(62)を擁立することが報道されている。

◆自民党埼玉県連では、天野氏の出馬断念にあたって、広く候補者を選定するとしたようだが、選挙日のことを考えるとのんびりはしていられない状況と言える。

◆上田知事は、川口市出身の現参議院議員の大野元裕氏に出馬の打診をしたと報道されている。実は、私はこの情報をすでに耳にしていた。上田さんとすれば「法律は守らなければならないが、条例は努力義務」とわけのわからない現職政治家としてあるまじき言葉を発していたことから、その努力の姿を示すためにどうしたらいいかと考えたのであろう。そこで、選択した行動が後継指名ということで、白羽の矢をもともと興味を示していた大野氏に当てた。
 ところが、大野氏は乗り気だったのだが、上田知事に推薦を出した市長会有志が「上田さん以外では応援する筋道からはずれる」という強い意向が出されたということのようだ。もっともなことと思われる。


 市長会有志も町村議長会有志も、結局のところ民主党の現職国会議員を、今の政治の流れの中で支援していくことは難しいと判断したと考えられ、その思考は理解できる。自民党保守系の首長の中には、元自民党県議会議員であったり、現在も自民党員の方が多いというのが実態で、12年間無所属としてやってきた上田さんならともかく、その盟友とは云え、今や反日リベラル政党というか、私流に言えば反建設的政党に衣替えした民主党現職を応援するわけにはいかないというのは当然のことと理解する。
 12年前の知事選当時とは国政の状況がまったく異なるし、別の角度からは、県議会は過半数を占める自民党優位の運営が継続されていくという現実も視野に入れなければならない。いわゆる、この一連の流れこそ「政治!」なのだ。

 このように、政治の裏側はなんでもありのところがあり、一寸先は闇ということも定説化しているので、そのあたりを見越して、あえて民主党現職に後を託すかのような打診をしたというのは、多選自粛条例を努力義務だとする、「その努力」を示したかった上田知事のパフォーマンスという見方もできる。 なぜなら、前述の理由で市長会や議長会が知事選で民主党支援というのは、いかに県政をギクシャクさせることになるかは自明の理であるから難色を示すことは鼻から承知と言える。ましてや、条例破りを承知の上で推薦表明を決断したのに、民主党に乗り換える形の選挙戦を出来るはずもないのである。
 したがって、これでは大野氏も断念せざるを得ない。つまり、ここまでの道筋は百戦錬磨の上田知事には容易に推測できたはずで、「私は努力した」と言える状況にが出来たことになる。読み違えではなく読み通りだったということが言えるが、これも真相は闇だ。

 私は、上田知事が引き返せないし、引き返す気持もない状況が、2年前のある出来事に端を発していることを理解しているので、もとより他に譲れるはずがないと確信している。

 ただ、今のメディアの論調を見ていると、市長会や町村長会、議長会も両手を上げて強力に上田4選を支援しにくい状況が生まれて来ているのではないかと思えるので、果たして今後の50日足らずでどんなドラマが生まれるのかますます興味は深まる。
 選挙戦に関わり、人心が蠢き、掻き乱され、メディアが放っておかない事態になると、一般的に嫌気が差して当初のまとまりや意向が薄れていくものである。