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No.2867 8億と100万円にかかりきり国会

2017.03.27

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 本来、政治は国益や国民生活の向上のためになければならない。それが生きた政治というものであるはずだが、今国会の内容は世界から日本の評価が低下するのではないかと感じるほどのていたらくである。「日本は何をやってるんだ!」と言われかねない国会状況である。

 今国会で成立した議案は現在のところわずか1議案である。しかも北朝鮮の動きが日に日に騒々しい状況にもある。弾道ミサイルの4基同時発射は簡単に見過ごすことではない。間もない4月には核実験も再び計画しているようだ。実験のたびに精度能力を上げていることは間違いない。こうした軍事に関する衛星情報は良くも悪くも的を得ていることが多い。
 複数ミサイルの同時発射の段階に至り、あのやんちゃ坊主が何を考えているのか本格的な不気味さを漂わせた。その後の実験現場での嬉々とした満願の笑みを見た時には、これはもう狂気の沙汰の独裁者とはっきり感じた人が多いのではないだろうか。

 日本の米軍基地は三沢、横田、座間、横須賀、厚木、岩国、佐世保、嘉手納、普天間などが主力で、このうち総合指令本部兼空軍司令部の横田、海軍司令部の横須賀、さらに主力空軍基地である嘉手納、三沢と空の戦力に絞ったならば、ほぼこの4ヶ所に狙いを定め、核搭載のミサイルを同時発射することも可能な状況になっているやもしれぬ。実際、対象基地までは別にして、そうした意図があるからこその複数ミサイルの同時発射であり4月の核実験と考えた場合、その想定に沿い国を守り、国家財産を守る審議を国会議員がしなければ税金歳費の無駄遣いと言われてもやむを得ない。

 テレビはどの局も森友籠池問題一色と言ってよい。その審議対象レベルは8億円と100万円で、最近はとくに100万円に集中している。これでいいはずがない! 攻める野党は「国有地は国民の貴重な財産だ」と言うが、国民の命と財産を守るのが国会議員の使命という場合の財産とは国民が今現在所有している個々の財産のことであろう。こうした大げさな物言いは野党の常套手段である。議論対象の比較論としてそれだけの意義深い財産ではないように思う。 
 そういえば辻本清美の登場率がめっきり減っている。この問題で彼女の行動が話題になっているからか。籠池夫人のメールに彼女の名が出てくるがさて?
 野党共闘で安倍打倒を図る実態には小沢一郎が徹底的にこれに絞れと指示を出しているようにも感じる。選挙での共闘は難しくとも安倍政権打倒質疑では共闘への足かせはない。もっとも政権打倒ではなく今の野党の実情は日本転覆につながりかねない。
 これは言いたくなかったことだが、今、民進党でこうした政権叩きに出番の多い福山哲郎議員は陳哲郎という中国からの帰化人である。帰化人などたくさんいることでもあるし今更それがどうこうということではないのだが、政治となると話は別だ。帰化したからといって祖国への情愛が無くなるだろうか。祖国が大嫌いで逃避した例を知らない。人間の生まれ持った感情は、とくに祖国、家族には強いものがある。日本人が他国に帰化した逆のパターンを考えると、やはり祖国日本への愛は住む国と変わらないかそれ以上のものがあるだろう。福山氏は祖国と日本が仲良くなってもらいたいという思いがあるのかもしれないが、共産党支配国家の中国が日本と対等の友好国になりうるとは到底思えない。我が国やアセアン諸国、または対北朝鮮に対する対応にしてもそうだが、大国中国が今どういった目的を持っているかはあきらかだ。
 彼の同志社大学、大和証券、松下政経塾、京大法学院に至る経歴は立派だが、恩師松下翁は遥か遠い空からどのように彼を見つめているだろうか。
 祖国中国を福山議員がどのように理解しているのか、そんな観点から私は常に興味を持って彼をみている。なぜなら、彼の質疑は静かな口調から始まるものの徐々にテンションが上がり、必ずといってよいほど紛糾場面が生まれる。当然ながらその都度低次元の国会が映し出されるのだ。「速記止めてください!」「時間止めてください!」の言葉が始終発せられ、最後は委員長席になだれを打つ異常事態となる。そうしたシナリオで臨んでいるのだろう。
 帰化人が国会議員になれないというのは憲法や人権問題に関わる話だが、もしも現民進党代表が総理大臣になり、福山氏が防衛大臣になろうものなら日本はいったいどんな方向性に舵が切られるだろうか。
 日本は、自由度はもちろんのこと、治安、食文化など多方面にわたり世界から敬われる国であり、その意味では素晴らしい国に生まれ育ったと思っているが、そのワンダーランドが覇権国家や凶悪国、さらにはそれをバックにした反日活動家たちによってナンダーランドになっては元も子もないではないか。
 森友籠池問題に無駄な時間を割くのはいい加減にせい!

No.2862 無益な野党の政局質疑

2017.03.07

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森友学園で国会が狂気の沙汰化している。共産、民進、社民、自由の反日連合は出る議員すべて森友学園問題で安倍おろしをターゲットにしている。小さな腹しか持たない税金搾取連合としか感じられない。
確かに8億の差額は数字として小さくはない。しかし、年間すべて込み込みで億単位の歳費がかかる野党国会議員の出てくる質問者のすべてが、低次元な言葉の羅列で安倍おろしを画策することに無駄は無いのだろうか。いや、そのくらい考えられないものかと腹立たしい。常に政局一辺倒でいいはずがない。

中国は全人代の最中で17兆円もの国防費があきらかになった。宮古島周辺での大規模海軍演習を行っている。北朝鮮は対米日韓を睨んで4発ものミサイルを一気に発射し、うち3発を排他的経済水域に着弾させている。しかも新型ミサイルのようである。また、国内では長野で9名もの尊い命が失われた救助ヘリ墜落乗組員殉職事件が発生したばかりである。
昨日出てきた野党反日議員のすべては皆一様に北朝鮮に断固たる対応を望むとかすべきだと安倍総理に冒頭形式的に求めるだけで、ほとんどの時間を森友学園問題であてこすりの印象操作に時間を割いていた。目の前で発生している外交問題をないがしろにした対応と言わざるを得ない。そもそも、日本には拉致被害者解放問題という人道的見地から、これが絶望的になる強い態度を示しにくい一面がある。マレーシアのように国交断絶も辞さない姿勢はしたくても出来ない事情があるのだ。もしも強行策に転じれば逆に拉致問題を切り捨てるのかと反転攻勢をかけるのが今の野党のすがただ。

昨日、土地の掘り返しを証言した作業員が反政権の組合系から急遽派遣されたヤカラだとか、籠池氏を過去に表彰した民主党政権時の文部大臣は平野博文氏で、彼は大阪選出の議員だということが明らかにもされている。籠池氏とは面識もあるようだ。混沌とした政治の闇にまみれている話にアッキード事件だなどと醜い言葉で罵る発言などなんの国益にもならない。
昨日の最後のほうに質疑に立った3人は好対照だった。維新の東議員は福祉に拘る政官癒着問題に対し的確ながらも丁寧かつ真摯な質疑に徹していた。次の自由党森裕子議員はすべて森友学園ですでに明らかな売却価格を質問し、後は山本太郎と変わらぬレベルの印象操作ばかりだった。申し訳ないが知性を感じさせない上から目線の態度はいったいどんな精神から発せられるのかと思えてならない。この後に出た無所属の薬師寺みちよ議員は手話を交えながら障害者支援を訴える質問で必死さが伝わってきた。

安倍おろしの政局論争もほどほどにしないと寝首をかかれる事態は刻々である。そのためにも予算委員会をより国益に沿った中身にしてもらいたいものだ。今の政治は生きていない‼️

No.2861 石原慎太郎vs小池百合子

2017.03.03

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 今日の石原元都知事の記者会見は東京都のことではあるが、国民の多くが注目したことであろう。ラジオでは表情が見えないのでその分印象は間引きしないとならないが音声だけでの印象は、いつもの憤怒に走る対応は影を潜めていたように感じた。とくに石原氏の説明を罵るかのような過激な発言をした記者もいたが、それとなくやり過ごす石原さんに通常とは異なる雰囲気で臨んでいたことは理解できた。
 ただ、小池知事の話になると責任論まで発する厳しい対応に終始し、これから百条委員会が待ち受けている身をどのように受け止めているのだろうかと感じた次第。

 たしかに、築地と豊洲の問題はことが複雑過ぎて結末が見えない混沌状態になったことは否めない。諸々の事象に社会の過敏性が度を超しているように感じる時があるが、まさに土壌汚染の問題に移転問題が前に進まなくなったことは事実である。
 そして、今では築地現市場の汚染問題までが報じられるところとなった。数十年も経って今更な感がするが、マスコミ報道につられるかのように庶民感覚もナイーブさを増す傾向にある。
 考えてみれば、日本中どこの魚河岸でも古びたコンクリート敷の広場にセリに上がる魚が敷き詰められる。大型魚などでは直接置かれている光景は当たり前のことだ。それらを刺身などの生食で舌鼓みを打つのが最高かつ高額というのが世界に冠たる日本文化ではないか。水でもそれこそもったいないと感じるほどジャージャー流しまくるイメージがある。
 それでも、そこからの流通過程で事件が起きたということはあまり聞かない。市場が営業停止になったという話も耳にしない。食中毒というのは限りなく最終小売段階での管理不足が原因の場合が多いのだ。

 今、マスコミは小池知事に好意的だ。逆に石原さんには今日の記者会見でも記者の目は冷たく厳しい。小池さんは都議団自民党に真っ向から戦いを挑んでいるとの評価なのだろう。なにしろ自民党嫌いのマスコミが多いのは間違いないのだからやむを得ない。たしかに議会を我が物顔に考えているドンの引退も小池さんが引導を渡した形だから都民に受け入れられるのはわかる。
 しかしどうだろうか。今の小池さんは近未来の総理などともてはやされてしてやったりと思っているかどうかはわからないが、夏の都議選に向けて都民ファーストが過半数を獲得することに躍起となっている感がある。市場問題は移転延期補償費や豊洲施設の安売り話などで都財政に与える影響は小さくない。小池さんが最終決着をどう導こうとしているのかが見えてこない。
 今のままでは単なるマッチポンプでしかない。石原さんが豊洲移転は問題ないと発言していることを専門家に対して諮問することがあってもよいのではなだろうか。もっとも、それにはあまりにも過敏すぎる世の中と対峙することになり、小池さんの評価が下落する可能性もある。

 百条委員会でも同じようなことを言わざるを得ないと石原さんは言うが、定例議会をまたいで開かれる百条委は場合によっては10回以上の開催も考えられる。いつかどこかで石原さんの体調不良による入院が有り得るかもしれない。
 小池さんは、都議選で過半数を万が一獲得したとしてもそれですべて良しではない。なぜなら、都民ファーストとは言うものの自民、民進などの脱退組や政治素人による小池顔頼みのポピュリズム選挙戦の候補者たちは、結局のところ都民どころか自分ファーストなのだから。
 そうした形で得た過半数では、いずれ化けの皮が剥がれるのも時間の問題かもしれないのだ。小池さんの政治経歴がそうした予測をついつい思わせる点が多いのも符号が合う。

 石原さんの記者会見に対する小池さんの反応は「石原さんらしくないという印象です」というものだが、石原さんに責任論をふられたことへの皮肉たっぷりの感想とも受け取れる。この人、言葉ではかなり長けた方である。
 さて、それぞれどういう決着が待っているやら・・・と思ったところで、なにやら猪瀬さんや舛添さんが小さく見えてきた。

No.2854 石原元知事に参考人招致

2017.02.07

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 東京都議会豊洲問題特別委員会は、いよいよ石原元知事を参考人として招致することとした。合わせて浜渦元副知事もだ。

 実は、今号のちょうど10号前になる№2844で小池知事はジャンヌダルクかというタイトルのブログを書いた。先月16日のことである。
 小池知事が築地市場を早朝訪問し、移転の前倒し計画をプレゼンした翌日、環境基準の79倍のベンゼンが検出され、移転どころか豊洲が使用不可能に陥ったと判断して書いたブログである。

 そこでは石原元知事への対応として参考人招致の可能性にふれたがその通りの展開になってきた。とうとう来るところまで来たという思いだが、都議会が百戦錬磨の石原氏に対してどこまで追求出来るかは不明だ。
 複雑な裏事情があったと思うが、それをどこまで紐解けるか。土地と金にまつわる何らかの不正があった可能性は考えられるし、その確率はかなり高いのではないかと推測している。東京ガスの経営陣には招致案内が今のところないようだが、いずれはそちらも対象になるやもしれぬ。

 議会が主体のことゆえ小池知事は第三者的立場で口を挟めるものではないが、彼女のあり方としてインタビューされれば、それなりの対応はすることだろう。
 まずは議会のドンを引退に追い込んだ小池さんだが、石原ドンにはどのように対応していくのだろうか。都議選を控えお手並み拝見といったところか。

No.2851 幸手市と蓮田市の違いは?

2017.02.01

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 先日、ある団体の新年会に出席したが、そこでは市長、教育長、体協会長、代議士秘書、県議といった流れで挨拶があった。

 市長はいつものことながら幸手市が変わりつつあるという話を、いくつも例を出して話していた。
 その中に小中学校にエアコンを設置するという内容があったが、金額的な部分を含め具体的な中身にはふれなかった。多くの自治体で検討の対象となっているこの教室空調設置事業は、先生にも保護者にも喜ばれると思われるので、市長の評価が上がることであろう。

 この事業についてだが、幸手市は入札の公告に予定価格を明示する数少ない自治体の一つで、この予定価格を7億93,572千円としている。そして、この公告は今日2月1日となっている。

 さて、昨年12月15日に蓮田市が発表した入札結果によると、市内12の小中学校空調設備設置事業で落札となった金額は3億68,400千円である。内容は電気式空調でリース方式である。幸手市の場合もリース方式だがエネルギーは電気なのかガス方式なのかの明示はない。その点はフリーにしてあるのかもしれないが、それにしても額が違い過ぎるのではないかと感じる。学校の数も生徒数もほとんど変わらない。ということは教室の数も大きな差はないはずである。にもかかわらず幸手市の金額は蓮田市の倍以上というのだからこれは精査の対象となって然るべきであろう。
 さらにこの事業、幸手市は指名参加方式を採用しているが、指名した多くの企業が蓮田市に入札した業者である。もしもさして変わらぬ条件で行われる事業だとしたら幸手市の事業を請け負う業者は笑いが止まらないはずである。

 どちらも公の専門新聞に掲載されているものゆえ数字上は間違いないと思うのだが、実態はここまでしかわからないので、決め付けるわけにはいかない。
 このあたりの真偽は是非とも次期3月議会で明確にしてもらいたいものである。蓮田市は3億でおさまったのに幸手はなぜ7億の出し値なのか?
 あくまでも掲載内容からの疑問であるから詳細の事情があるならそれはそれとして理解もしよう。万が一、ガス方式を考えての予定価格であるのなら、無理にガスにせず蓮田と同じ電気式でいいということになるだろうし、いずれにしても税金の使途問題については議会のチェックが求められる。二元制の議会制民主主義では、議員は一方の市長および執行部を褒めることはあっても、それが主体ではないということも忘れないでもらいたい。

No.2844 小池都知事はジャンヌダルクか

2017.01.16

 築地市場の移転地である豊洲の状況がにわかに騒がしくなってきた。原因は、ヒ素などの有害物質による汚染が表面化したにもかかわらず消費者庶民感覚を脇に置き、結局は移転ありきの思考を優先させたことにある。
 小池知事は、いっとき豊洲問題は石原元知事、五輪問題は森委員長が根本の問題かのような耳に心地よい発言が多かった。私も石原時代の何らかの癒着行政が裏にあると感じていたことと、増田寛也さんでは都議会自民党に頭が上がらない知事になるだろうと思っていたので近代都政のジャンヌダルク現る!といった感じで受け止めていた。しかし、肝心の小池氏本人が問題提起まではよかったが、解決への意気込みに見せる温度低下が際立ってきた。
 五輪問題も結局は元のさやに納まり、他県を怒らせただけに終わった。バレーボール会場で69億円の削減ができたというが、他の2競技の問題も含めると期待ほどの削減になったとは言えず、やはり最終段階に至らなければなんとも不確定な話である。

 豊洲問題では、盛り土が難しいとなるとそれに代わる良策はなく、時間の経過とともに業者移転予定日の前倒しが報道された。早朝築地を視察し、セリ場で業者の多くが手を振って小池氏を出迎えた光景が私には異様に映った。まるで小池氏がスターのような感覚で手を振りかえしていた。一時険悪な状況に陥ったはずが、移転遅れの保障費交渉がスムーズに進んでいるせいなのだろうか。
 そして、それから日をおかずの昨日、環境基準の79倍ものベンゼンの存在があきらかになった。
 築地業者にとっては青天の霹靂ではなかったかと思うが、当の小池氏は「重く受け止めている」とのみ発言。移転前倒し発言のあとだけに有害物質問題に徹底的に取り組んでこなかった経緯がうかがえる。
 移転問題は完全に暗礁に乗り上げたと言えるだろう。この先、建設済みの施設に何の方策も打たず移転をするのは庶民感覚が許さないであろう。なにしろ生ものを扱う施設としては最悪の方向になっってしまったのである。

 移転を考慮するにあたって、よくあることだが土地買収にかかわる地権者と石原元知事ら当時の都幹部の関連も噂されている。大型事業には必ずといってよいほどついて回る話だが、現知事としてはその責任追求に重点をおく余裕はない。過去より今後が重要であり、その行く先を決めるのは小池氏なのだ。

 自らの知事選で10年に一度の前噴火をし、本格的爆発は今夏の都議選で都民ファーストを謳って自民党に一矢報いるとしている小池氏だが、自民党との関係については「身体伺いを出している。判断するのはあちら側」と口にする。しかし、これは一般的には政治家としての信念表明を避けている姿勢でしかない。「煮るも焼くもお好きなように」は、小池氏独特の戦略性を示しているが、これには自民党都議団のていたらくな実情も味方しているのは間違いない。都民の目は小池氏への期待度が高い現状にある。 
 しかし本来、進退は自ら決めるべきことではないか。そこには党の判断次第で有利な選挙状況を作る意図が垣間見える。そうしながらも実際に大々的に候補者選びを進めている現状でもある。そういう意味では、確かに好戦家らしき戦略家ではある。それは過去の政治活動の経緯を見てもわかる。しかし反面、五輪予算のことがあるせいか安倍総理や森委員長ともどちらからともなくご機嫌を伺う様子を見せ始めた。これも政治の世界と言える。

 現状、世論の評価は高いが反政権マスコミが小池氏人気を高揚する報道志向によって支えられ、自身のポピュリズム化も進化しているように見受ける。もともとがマスコミ人間だけにそのあたりは心得ている。センセーショナルな演出も見事だった。
 埼玉県では一昨年の県議選で上田知事が自らの政党会派を結成し、自民党議員の減数を狙って各選挙区に候補者を立てた。ところが、結果は思ったほどには至らず自民主導の議会運営を変えること叶わず、結果、唯一の公認候補として当選した議員には昨年6月に自民党に移籍され、先ごろまた自らが関係する会派から無所属に移籍する議員が名乗り出た。おそらくこの議員も近い時期に自民党県議団入りするものと思われるが、議会運営の面から地域を変えるには自らの支援議員を過半数にしなければならないという地方自治トップの思考性は、市町村選挙ならその可能性が若干有り得るが、小選挙区制度による都道府県では難しいというのが実態と思われる。
 すでに当落を意識して小池旗のたなびきに擦り寄る都議もいるが、所詮自己保身を価値基準にしている点で絶対的な信頼関係が永遠とは思えない。どういうことかと言うと、自分が小池人気にあやかって当選しても自民党会派による過半数の現状が変わらなかった場合どうするかということである。小池氏もそうであったが、政党会派を行ったり来たりでは政治家としての信念が問われるであろう。上田知事方式の先例を参考にして小池氏がどう対処していくのか興味深い。

 さて、小池氏は今後都政運営をどう切り盛りしていくのだろうか。五輪問題は実施する他県にかかわる予算問題が残る。築地移転問題は豊洲施設が市場として使用不能になった場合は?また、現築地市場にはオリンピック関連道路の新設にからむ問題も発生する。そして、石原元知事への対処は? はたして証人喚問や訴訟といった新たな段階に発展するのかどうか。福祉、子育てには都民ファーストの観点からの予算計上をして女性知事としてのパワーを示してくれている。この点はさすがと感じるが、最大の難関である都議選への風の流れはマスコミ次第とも言えるが、風に流されやすい有権者の心持ちが鍵を握っているのは間違いない。 

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