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No.3325 早朝の自輪行

2020.09.24

 ここしばらく、早朝の自転車に励む日が続いている。名付けて自輪行と称しているが、サイクリングそのものだ。6時前後から約1時間かけてハンドルの向くまま、気の向くまま16インチの折りたたみ自転車を駆る。
 出だしはだいたい葛西用水沿いのロードに繰り出す。数日前に2メートルほど下がったと感じたばかりの水位だったが、川底が見えるくらいに流量が減っている。カモの姿は無く、鯉の背びれが時折水面を素早く走る。
 2年ほど前に大手術をされた地域の先輩に今年初めて会うことが出来た。足を止めてのしばしの歓談は嬉しいという感情が優先する。余命3年と宣告されたので残すところ1年になったと明るく言う姿に、命に立ち向かうからこそ早朝ウォークをしているんだろうにと感じるものの、心配かけまいと気丈に振る舞うところがTさんらしい。まだまだ長生きしてもらわなければ。
 途中、ケーンケーンと甲高い声が響く。あれがいるな・・・と、キジが2羽のカラスとにらみ合いの場面に遭遇。両者じっとしたまま数秒は動かない。これはシャッターチャンスと足を止めてスマホに手をやった瞬間、キジがにらみ合いを避けるかのように大慌てで逃走。このキジ近場に住み着いているようで、見かけるのも珍しいことでない。他でも数カ所で見かけるが、キジの住みやすい環境があちこちで増えているのかもしれない。それにしても、キジとカラスの世紀のワイルドライフを見逃したのはもったいない。
 鷲宮神社で手を合わせ、ラジオ体操を待つお年寄りたちに挨拶をする頃には30分近くが経過している。さい栗線を越えて加須バイパスに入るとすぐに八甫跨線橋だ。スタートしてからずっと6ギアだったのを2ギア、そして1ギアに落しててっぺんまで立ち漕ぎせずに上り切る。これを2ギアで達成できるようにしたいのだが、さていつのことになるやら。
 てっぺんからは稲刈り途中の田園風景を見やりながら左前方に筑波山を仰ぎスピード感たっぷりの下りだ。数秒のコースター的スリリング気分を味わえる童心に戻る瞬間だ。
 そのままバイパスの歩道をひた走り、途中から中川の土手に上がる。高須賀池を右に見ながら東武線アンダーパスをくぐり4号国道権現堂桜堤歩道信号を右折して、今度は東武線陸橋にチャレンジ。きついが座り漕ぎで完登すると行幸小学校が目に入る。いよいよラスト感覚となりペダルの回転が上がる。
 気ままな自輪行だが、早朝の原風景に触れることが出来るのはなかなか乙なものである。家に着くと疲労感と同時に若干のやった感が。万が一、これがないと明日の自輪行への意欲につながらないと自分に言い聞かせる。
 そして、家に入るや着替えて次なる日課のスクールガードだ。けっこう無駄の無い充実した朝に納得するこの頃である。