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No.2874 春雷

2017.04.16

 退院後最も感じる身体異変は月並みだが下半身の衰え。ベッド生活をされた方々に共通する現象がもれなく私にも、ということで昨日は久喜菖蒲工業団地の噴水公園、その前日は渡良瀬遊水地谷中湖へ足慣らしに出掛けた。
 渡良瀬では北ゲートに車を停め約2時間、野鳥観察をしながらののんびり歩行。平日ということもあって広い公園には数えるほどの人。持参したたわいのない弁当もウグイスの声がおかずに加わり、いつになくご馳走といった風。家内にいつも怒られる早食いもなく、ゆったり時が進む感じはそう味わえるものではない。かくして貴重な昼食となった。前号に関わる世情の喧騒さから逃れようとしたわけではないのだが、広大な自然は夫婦二人にのどかな空間をもたらしてくれた。巡り会えた野鳥もウグイス、ヤマガラ、ジョウビタキ、ミソサザイ、キジなどわかっただけでもこれほどいた。キジが足元近くから突然飛び立った時、歓声をあげた家内の姿は日頃けっして見ることのないものであった。

 菖蒲公園では前日の疲労感が足に残っていたので、それを追いやろうと連日の歩行作戦を目的として出向いた。到着時は快晴だったが歩き始めて400メートル。空がにわかにかき曇りというほどではないが、雨雲が立ち込めパラパラし始めた。近くのトイレに入ってしばしの雨宿り、と次々にいろいろな形態のファミリーが同居と相成る。15人ほどになっただろうか。すると頭上で轟く雷鳴。皆、身がすくむ感じでいると追い打ちは1センチ大の雹だ。これには私もトイレの居候が少し長くなりそうだと覚悟した。結局40分の足止めとなったが、車椅子の高齢の女性とそのご主人、娘さんのほっとして外に出る様子にこちらもほっとさせられた。せっかくの春満開の空気を浴びる散歩が台無しとなったが、帰り際、異なる風情の春爛漫に巡りあった。マガモのメス1羽にオス3羽の恋愛奪取風景にしばし観察と相成ったのだ。1羽のオスが他の2羽のオスにライバル心むき出しで繰り出す嘴パンチと間隙をつきメスの首をつつき回すオス・・・真剣な様子に見入ってしまう私。驚いたのは、こうした場面では頭に触ろうが、声を出そうがまったく動じることなく恋愛成就のためには一心不乱になるものらしい。人間もこれほど恋愛に夢中になれば世の中の問題のいくつかは解消出来るのにと感じた次第。
 春雷も夏への移り変わりの現象なのだろうか、今日は7月の陽気になる地域もあるらしい。