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No.2808 オートファジーの父はずぼら

2016.10.04

 今年のノーベル賞は大隅良典東工大栄誉教授の受賞で幕を開けた。固いイメージのあるノーベル賞だが、大隅教授の話を聴いていて気さくでほのぼのとした人間味豊かな人柄に国全体が明るくなったような感じである。
 昨年の大村、梶田両教授もそうした雰囲気を持っていたが、大隅教授の場合、奥様ともどもユーモアあふれる家庭を築かれている様子である。

 タイトルは共同研究者の微生物化学研究所の野田展生主席研究員のネーミングに奥様の評価をつなげたものである。

 教授曰く「私は家内と学生結婚しまして、子どもが早くにできてしまったんですよ。子育ては家内にまかせっきりでした。とりわけ家内に感謝したい」「お酒が好きで、とくに日本酒では随分我を失いましたので、最近は蒸留酒をたしなんでいます」
 奥様曰く「主人はいい加減で不思議な人。ずぼらで適当なんですよ。顕微鏡を覗くのが趣味みたいな人で、家では庭の草取りなどしてます。いたずら好きな面があって、私がボケ役で夫婦で漫才してるしてるみたいです」
 ということは、教授が突っ込み役として家庭内での自由気ままな存在なのかもしれない。まさにオートファジーといったところ???
 ちなみに、この場合のファジーは曖昧という意味ではなく細胞が細胞を食べるという意味だそうな。フムフム?

 「福岡での学生時代は常にナンバー1か2。しかし、勉強してる感じは受けなかった。話好きで人の輪には必ず彼がいた」と語る旧友は、驚き以上に納得の受賞といった様子。

 難しい理論はわかるはずもないが、教授の話では広く生活習慣病、アルツハイマー対応といった老化抑制への役割が期待出来るという。創薬につながれば良いのではないかとおっしゃってられる。つまり、人類夢の研究と言えるかもしれない。 
 御年71歳になられて世の中に夢を与えてくれるのだから、とてつもない学者なのだが、案外にノーベル賞を獲得されるような人は気取りのない普通人というのが一般的なのではないかと思えてきた。
 そう言えば、2002年に43歳で化学賞に輝いた現東北大学名誉教授の田中耕一教授もそんな雰囲気を持つ化学者だった。今も島津製作所で働いているという。

 大隅教授、そして奥様 おめでとうございます!