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No.3057 Gone with the wind

2018.11.19

 我がブログでは滅多に英文のタイトルはないのですが、今号ではなんとなくこれを題目にしてみたくなった。このタイトルを見てハハーンと気が付く方はかなりの映画通ではないかと思います。
 1939年に制作された「風と共に去りぬ」の原題の英文。windとは戦争を意味しているらしく、戦争により当たり前の生活文化が崩れ去ったが、一人の女性がその中でとマーガレット・ミッチェルは言いたかったようだ。
 ビビアン・リー演じるところの天衣無縫のわがままお嬢様スカーレット・オハラが南北戦争による社会変化に翻弄されながらもたくましく生きるストーリーは、まさに世界大戦の影響で日本で封切されたのはアメリカより13年も後の1952年のこと。上映時間が4時間近くあり飛び抜けて高い製作費の関係か、それともアメリカでも空前の大ヒットになったことで相場が上がったのかは分からないが、当時の入場料は破格のものだったらしい。たしか高校生くらいの頃だったが、再封切りを映画館で観た時、やたらと大きいスクリーンだったと記憶している。とにかく拘わる数字を知るにつけスケールの大きな映画だったことがわかる。/span>

 今夕、日産グループの最高権力者カルロス・ゴーンの逮捕ニュースが駆け抜けた。金融商品取引法違反で逮捕されたゴーン氏。所得を実際より倍も少ない49億円で報告していたという。さらには、会社資金で不動産などへの個人投資も30億円近い額にのぼっていたというし、自宅購入費を会社経費で賄うなど、いわゆる背任横領という犯罪行為もあったという。報酬が社会通念からは乖離しすぎていることは間違いないが、今更、ゴーン氏の報酬に驚きはしない。驚くべきは、そのごまかし度合いである。報酬に関連するものもしかりだが、さらにその上、会社経理上の不正までとなると、社員の感覚は当然のことだが、社会的にも到底許容できるものではない。外国人コンビでよくもまあ何年にも渡って私的利用をしていたものだとため息が出る。しかし、いったいこれほどの不正がたった二人だけで出来るものなのだろうか? 
 これで3つの会社の要であったゴーン氏が不正と共に去ることは間違いない。ルノーは仏国が株主という特殊事情でもあることから、3社のグループ関係が継続されるかどうかも危うい。
「ゴーンは風と共に去りぬ」を英訳するとGone along with the windとなるようで、つまりalongを入れるだけでGoneが主役の人物格になる。実際の彼のスペルはGhosnと書くそうだが、音が遊びの原点と思うことで十分ではないか。映画の原題そのままにGoneはゴーン氏と去りぬの2義を持つと考えるとなんとなく日産の社員に成り代わって妙に納得できる。金額の多さという点では、映画に負けないくらいスケールが大きいゴーン事件である。
 風という言葉は、叙事叙情的な観点でいろいろなものを運ぶと理解はしていたが、戦争や不正という事象に例えることで暗いイメージを避ける便利性を持っているように思えてならない?
 この言葉遊び、明日の新聞でつかわれるだろうか。いや、映画に失礼か。