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No.2941 トップの品位品格

2017.11.18

「ほんのひと言が人の心を暖める、たったひと言が人の心を傷つける」
 語り人知らずだが、なかなか意義深い言葉だと思う。どこぞのメトロステーションに看板として取り付けられていたように記憶している。
 小池百合子さんが希望の党の共同代表を辞任した。衆議院選挙の結果次第では単独代表どころか総理大臣のイスまで見据えていたはずの小池さんだが、やむなく共同代表制をしいたものの葛飾区議選の結果はもはや彼女に二足の草鞋を履くことを許さなかった。葛飾区民の選択は東京都民の選択と理解すべきであり、国民の間にも同じ思いがめぐっていたものと思う。
 これで小池氏の政治生命は都知事一本に絞られ、2期目に信任されるかどうか知事としての勤務評価に都民の厳しい目が光る、ある意味瀬戸際の状態に置かれたことになる。
 

 凋落民進党の議員に希望への転党のススメを謀り、自身経験のない巨額の資金の金庫番を手中にすることを画策していたとする説もあった。このあたりは自らが転党の政治経歴を有していたこともあってか悪びれた感じは受けないが、はからずも左派系カットの思いが「排除」のひと言を生むことになった。
言葉がこれほどまでに短期間で人物評価を変えてしまうことに驚かされたが、とくに選挙という信任負託制度を原点にする政治の世界では有権者という感情の存在があるのでこうした大逆転劇があるということなのだろう。

 
 言葉に限らず、トップに立場にある人間の品位品格はいろいろな視点から問われる。上尾市の市長・議長の行為も市民の信頼を損なうものであり、氷山の一角という意見もある。日馬富士の暴行事件もあってはならないことである。また、相撲界経営陣の一角にある貴乃花親方が「弟子が受けた暴行は親方が受けたのと同じことだ」と語ったというが、どこぞの世界でもあるまいし、売られた喧嘩は黙ってるわけにはいかないとばかりの思考はいかがなものかである。そもそも巡業担当理事として事件の早期解明に動くべき立場が被害者届けを出した数日後に暴行を受けたという話は聞いてないというのはどうしたことか。裏にどういう事情があろうとも部屋同士の怨念感情を強く出し、事の隠蔽を謀る親方に理事長挑戦の資格があるのだろうかと感じられてならない。経済社会にも業界トップクラスの企業の不正問題が続出する現象が止まない。トップの品位品格が崩れる日本社会が透けて見えるようだが、それを立て直すのもトップの仕事であるのは間違いない。