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No.2165 指紋より歯紋

2012.03.30

 このタイトルはつぎのような事実を知って考えついたものです。
 昨日、大宮で埼玉県歯科医師会、埼玉県歯科医師連盟の主催によるデンタルセミナーが開催されました。きっかけは、昨年の8月に歯科口腔保健法という新法が国会で可決成立し、その後、埼玉県議会でも9月議会において自民党県議団の提案により「埼玉県歯科口腔保健の推進に関する条例」が制定されました。
 こうした状況から、上記のセミナーが第一回目として自民党県議団を対象に開かれたものです。
 いくつかのテーマに分けてのセミナーでしたが、「東日本大震災における身元確認作業」の講演内容に今号のタイトルの意味があります。

 震災後、多くの犠牲者搜索が続いた際、その身元確認が重要作業だったわけで、そのためにいくつかの県の歯科医師会から歯型から身元を割り出す作業のために歯科医師が現地に派遣されたそうです。こうした事実はうかがってなるほどと理解するほど、大震災の裏では様々な動きがあったということです。

 さて、家族による検証などを中心に身元割り出しが進む中、それが不可能な場合にDNAや指掌紋、それと歯型などからの検証作業があるということですが、DNAで0.7%、指掌紋では2.5%の割り出し率だったものが、歯型検証では7.0%の確立で身元が確認されたというのです。
 要するに、それだけ歯型というものは多くの人が歯医者で治療を受けた経験があるということがこの数値になっていると考えられるということでした。

 しかし、今回の津波では歯科院の多くも被災の対象になっているわけですから、割り出しのための作業には困難を極めたものと推測されます。
 国では、こうした際に歯型のレントゲンが簡単に撮影できる装置を全県に1機配置しているということです。