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No.3621 全国都市問題会議

2022.10.22

 先週、13~14の二日間で行われた全国都市問題会議。テーマは・・・
個性を生かして「選ばれる」まちづくり
   ~何度も訪れたい場所になるために~

ファイル 1548-1.jpg このテーマで5名の方による講演と6名の出席者によるパネルディスカッションが行われました。
 タイトルからは、幸手市にとってハードルの高い課題だと理解しつつ、不可能を可能にするという気構えは持ち続けたいとの想いを持っての参加でした。

 11人の講師の中に4人の首長さんがいましたが、それぞれ
❖長崎市は開催都市で人口40万人の世界的観光都市
 田上市長は九州大学卒後、1980年に長崎市入庁
❖山形市は人口24万人の県庁所在都市
 佐藤市長は東大法卒後、経産省に入省し、著書に「M&A国富論」
❖伊丹市は人口20万人で関空の完成前までは関西の空の街として知名度は高いものがある。
 藤原市長は東大工学部卒後、建設省入省。近畿市長会会長、全国民間空港関係市町村協議会会長。
❖飛騨市は人口23,000人だが792㎢という広大な面積を持ち、飛騨高山観光ラインの一角で、白壁土蔵街、スーパーカミオカンデなどで知られる街
 都竹市長は筑波大社会卒後、岐阜県庁に入庁

 街と市長の略歴は以上ですが、4方とも国・地方の違いこそあれ、すべて行政職の経験者です。経験はもちろん、人脈という点からもなるべくして成った首長という感じですし、実際にそれを活かして職制に励んでいらっしゃるものと感じました。
 地方の過疎都市が県や国という中央に繋がりがあるのは街づくりの点から大きな原動力になることは間違いありません。幸手市でも、副市長が県の都市整部長という要職にあった方で、今月の県営第二公園のオープンや、県道383号線の4号バイパスまでの延伸事業決定が示されたことなどに結び付いているのです。

 全体的には、心構えとか職員とのコミュニケーションといった話では参考になるものも多くありましたが、豊富な予算(とくに長崎など)で常に変貌している自治体は参考になると言うより、羨ましいという羨望観が勝ってしまうのは仕方のないことです。もう少し講演される都市の選択を幅広い観点からすると良いかなと感じた次第です。
 私自身、民間で叩きこまれたこともあって、ジャパネット社長のトップダウン経営と、長崎市との連携で重要な役割を果たされている高尾氏、桐野氏お二方の話は素直に耳に入りましたし、街の大小に関わらず納得できる内容が多々ありました。
 ジャパネットの高田社長は東大出身の43歳2代目社長ですが、あの先代社長がこれほど早く社長の座を譲ったことが理解できる器の方だと実感しました。
今ではほとんど経営に口を挟むことはないそうです。今は長崎駅に近い三菱系所有の広大な土地を購入しスポーツスタジアムを建設するそうです。単にスタジアムだけではない、新幹線開通による長崎駅に直結する形で「スタジアムシティ・エリア」と名付けたビッグプロジェクトだということです。
 この駅周辺の開発が完了するのは3年後だそうですが、佐世保でカメラ屋さんから始まった一店舗が、国を代表する通販会社に成長し、県と市の発展のために資本を投入するという現実は、10年前には想像もしなかったものと思います。
 長崎市景観専門監という肩書を持つ高尾忠志さんは、市職員とのあたたかい交流が多くの仕事の場面で生かされていることがよーく理解できました。まさに長崎の観光景観のプロデューサーとして八面六臂の活躍をされています。 
 他で私が興味を持ったのは、田中輝美さんの講話でした。詳細を書くと超々長文になりますが、島根県を中心として中国地方に根付いた街づくりやコミュニティ推進に尽力された方です。一言で言えば、島根大好きを仕事に生かして人間関係が街を豊かにするという哲学をお持ちの方だと感じた次第です。

 というようなことで、夢を形にするという思考が政治には必要ですが、冒頭述べた通り、幸手市の現状は「人口減少防止」という行政環境下にあり、何度も訪れたい街という観点ではかなり厳しいことは間違いありませんが、未来のために、未来に向かって焦点を合わせた行政を進めていかなければならないという実感を持つと同時に痛感した研修会議でした。