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No.2827 気質の違いを感じる動向

2016.11.30

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 韓国政府が来年3月から、現行17種類ある歴史教科書の国定化導入を志向しているが、これまで以上に慰安婦と竹島に関する記述が先鋭化されるようだ。
 たとえば、慰安婦関連では「日本政府と日本軍によって強制的に動員された」、竹島については「韓国固有の領土」と記述されるという。

 もともと、韓国は「慰安婦に関する強制性は歴史的事実として間違いのないもの」と主張しており、今回の改定においても韓国の教育相は「日本政府の責任を明確にした」と言ってはばからない。
 韓国国内では政治イデオロギーの観点から北朝鮮への記述についてもかねてから賛否が分かれる実情があり、今回の国定化では北朝鮮との融和的記述も削減されるものの、日本への批判もさらに分量が増加する傾向だとのこと。

 慰安婦問題に対する韓国民の感情は、日本へのライバル心を超えて敵対的精神に近いものがあるが、これを結果的に煽動する形となった日本の政治家の安易な発言とそれを補填した反日マスコミの影響もあって、韓国側の強気な姿勢が見直されることはないことがあらためて理解できる。
 韓国の歴史教育が、今回の国定化によって事実の事実以上のデフォルメと捏造も含めて中高生たちに延々と教え込まれていくことになる。このことが、戦後最も互恵関係を実現し、保持してきた日韓関係の未来にどのような影響をもたらすだろうか。韓国にはそうしたことへの憂いはないように思えてならない。


 朴大統領の弾劾の可能性が高い現状にあって、父親の朴正煕元大統領に対する賞賛迎合記述への批判も高く、過去の大統領の退任後の末路を思うと弾劾が確定した場合、一族郎党にわたって過去を清算する動きが強まることも予測される。国家トップを担った政治家に対する敬意の念など皆無に近い状態になる韓国のお国柄というのは、日本では考えられないことである。
 そもそも今回の大統領周辺で起こった事件があまりにも私的な小さな人間関係の枠でのことであるのも、日本では起こり得ないことであろう。

 強気一辺倒かつ感情の高ぶりを抑制できない民族気質を原点とすることで民主主義の成熟が困難な国情と言えるのではないだろうか。それでも、どこぞの言論統制全体主義覇権国家よりはましか。

 いずれにしても世界に比類なき規範精神による知性と理性で国際協調ならびに友好関係を示す日本なのだが、大戦中の人道人権問題で未来永劫常に後手に回るような感もする。
 歪められた事実を真実にいつかは置き変えなければと思うが、感情論に打ち勝つのは容易いことではない。