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No.2734 やはり秘書に向けた責任

2016.04.06

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 政治資金疑惑の民進党山尾志桜里政調会長の釈明会見があったようだ。
 やはり想像通りの内容でがっかりさせられた。

「しっかり調べてきたのでご報告をしたい。報道されているような、ガソリンのプリペイドカードを大量購入した事実はないものと考えている。したがって、このような大量のプリペイドカードが換金されたとか、関係者や有権者に配布されたという事実もないものと考えている」

「政治資金報告の関係は、秘書がスタンドに捨てられていたレシートを持ち帰り、この分を事務所の現金から支出していたと思われる」
「多額のガソリン代の支出に、この秘書が関与している蓋然性が相当に高いと判断しているので、法的措置を考えている」

 つまり、結果は今はいない秘書がやったことだと言いたいようだ。確かに、それが事実であれば、立派な横領罪ということになる。ならば、なぜその秘書は今はいないのだろうか? 辞めたのか辞めさせたのか? その理由は?
 そもそも、「考えている」という末尾語はどういう意味を示しているのだろうか? 確信も確定もしていない、ただの本人の推測表現でしかない。つまり、調査した結果を示す言葉になっていない意味で、無責任な結語に感じる。
 真実か嘘かは別にして、本人がしっかり調査したと言うのであれば「そうした事実はありません」と締めるべきなのだ。蓋然性という難語まで使う言葉のプロなのだから。

 ともかく、いない人の責任論で終えてしまうのは、この世界によくある「闇のまま」というもので、何の説明にもなっていないし、秘書の責任にするのもほどがある。

 今日、同じ民進党の岡山比例区選出の柚木議員が、公職選挙法違反で事情調査されていたとの報道があった。お付き合いのつもりで、母校の同窓会名簿に有料の名刺広告を出したという。こういった内容の違反事件は、もちろん許されるものではないが、山尾議員の問題とは比べ物にならないくらい小物に感じられる。もっとも、この柚木議員は、松島みどり法相のウチワ事件でケジメの辞任をせまった方だから、どうやら明日は我が身を味わうことになったようだ。
 
 議員は求められた場で、つい考えもせずしてはいけない対象の寄付に応じてしまったりというのは間違いとしてあると思う。しかし、その額にもよるが、人の心としてこうした事象は憎むべき違反に感じられない面もある。

 私は、山尾議員や舛添都知事のように、知らなかったで済まされない金銭疑惑には憤怒の気持ちを隠すことが出来ない。しかも、二人とも大組織の大きな肩書きを背負っているし、山尾氏は元検事という立場であり、それは人生の最後まで優秀な履歴としてついて回る方なのだ。

 もうかなり前のことになるが、松岡農林大臣という人物がいた。高飛車な物言いは好きなタイプではなかったが、かなり大物感を漂わせてきた官僚あがりの閣僚だった。ところが、事務所の水道料疑惑を(確か500万円だったか)野党から追及され、なんとドアノブで首を吊るという驚きの結末をみた事件だったと記憶している。あっけなくも悲惨な政治家の末路はあってはならない。
 ただ、こうした事件も反省にして、山尾、舛添両氏の疑惑はしっかり究明すべきだと思うのだ。舛添氏の開き直りも、山尾女史の釈明も、けっして納得出来るものではない。