記事一覧

No.3235 幻の立国同盟

2020.01.21

アイコン

 注目された立憲民主党と国民民主党の合体論は双方徒労に終わった。国民側の事情から予測されてはいたが、どちらの言い分も盟友になるべくリスペクトする感じは見られなかった。とくに、立憲の上から目線の支配的理論をかざす枝野発言に国民の慎重派がより慎重になったのではないかと感じる。そもそも、幹事長レベルでの協議自体合併成就には難しい顔合わせだったと思う。立憲の福山氏は数年前までは委員会採決時のダイブ担当議員で穏健派タイプでない。したがって、枝野党首以上に冷徹な話し合いに撤したのではないかと推測できる。であれば、国民の平野幹事長と阿吽の呼吸など生まれるべくもない。時流によって野党第一党の幹事長になった福山氏の幹事長起用はその時点から立憲のイメージダウンにつながっていることを立憲首脳陣は理解出来ていないのだろう。
 枝野党首にしても同様のことは言え、大学時代の学生運動の関係で左翼過激派の革マル系労組から献金を受けたり、国旗国歌法案制定時の採決で反対した政治家である。学生同士で血の抗争を続けた左翼過激派。いわゆる排他・排除の精神を学生運動で具現化していた人間だったのだ。何を今更と言われるかもしれないが、政治家とはそうした思想形成過程の過去が現在の政治活動に密接に影響しているものだ。友愛の情をもって、まずは政権打倒に力を合わせようとはおいそれとはならなかったということである。 
 あの薩長同盟には、坂本竜馬という有能な触媒が存在した。今回は、後ろではやし立てるという意味では、小沢一郎、中村喜四郎、野田佳彦、安住淳といった面々がいたとされるが、誰も両社の間に割って入る調整役にはなっていない様子だった。いや、なれなかったと言うのが正しいのかもしれない。
 金銭や選挙目当てが透けて見える野合の新政党に国民の理解が得られるとも思えない。立国同盟は幻と終わったのである。

 通常国会はおそらく建設的議論が進むことは考えにくい。安倍政権はメディアの支援を受ける野党・朝日連合の攻撃にどう立ち向かうか。桜とIRと公選法違反の3つにどう対応するのだろうか。野党側にも初鹿議員のように性的犯罪に問われている議員が存在するなど問題皆無ではないが、反政権メディアの多くは、これに報道の継続性を見せず沈黙した。
 そして、今通常国会はなんと言っても憲法改正発議国会にならなければいけない。安倍政権には憲法改正はさせない。ならだれが総理ならオーケーするのか。いやいやそれ以前の問題として、国会で発議しても国民投票という国家事業があるのだ。逆に言えば、憲法改正をするかしないかは国民が選択権を有している。それを認めないという段階が、今の国会の理論になっていることを安倍総理は強く訴えるべき時期に来ていると確信している。つまり、改正反対政党は、国民投票になると改正が実現してしまうと理解しているということではないか。だから国民投票はさせたくないのだろう。民主主義とはいったいなんたるやがよく問われるが、これこそ非民主主義とは言えないだろうか。
 9条改正は戦争を肯定するものだとする夢想的理論。逆に侵略戦争への歯止めと主張する現実的国防理論。言えることは、今の9条を守っていれば、中国も北朝鮮もロシアも永遠に日本に攻め入ることは無いとする思考ほど怖いことはないということである。そんな生易しい国ではないのは明らかなのだから。