記事一覧

No.3021 単に歴史的怪談だった?

2018.08.21

 6月12日、初の米朝首脳会談はどうやら歴史的怪談に変質しそうな気配だ。この日、地球の一地点だけが光り輝いていたと感じるほど、世界中の注目を集めたシンガポールでのトラ金会談。共同宣言まで発したが、やはり北朝鮮の強気な姿勢は金正恩の怖いもの知らずなのか、アメリカとの対等イメージを構築したいのか、はたまた中国の存在がそうさせるのか。それほど簡単に核ミサイルを放棄するはずがないという見方が多かったのではないかと感じていたが、結局のところ、その方向に落ち着きそうだ。放棄どころか火星15の性能向上に向けた研究開発を進めているという情報もある。アメリカが速やかな放棄スケジュールを要求すると、終戦宣言を条件に出してくるといった交渉事の稚拙さを露呈する始末。強気なことこの上無いが、これには韓国に駐留する米軍撤退を思惑にする点で中国と北朝鮮は一致している。とくに中国は米の迎撃ミサイルTHAADの韓国配備に神経質で、経済的な面で韓国いびりをしていた事実がある。そして歴史的会談の北朝鮮側のフィクサーとして金正恩をこの点で人参をぶら下げて利用しているのは容易に理解できる。そしてトランプが中国に仕掛けた経済戦争を中国は強気に買って出た。世界中のエコノミストは輸出入ともにアメリカ頼みの中国はすでに国内での疲弊があきらかで中国は対応を間違ったとする意見が多い。事実、まだ表向きは小さなものに過ぎないということだが、習近平暗殺計画まであったと聞くと物騒なお国事情なのだが・・・。中国、北朝鮮、そして韓国に共通する民族的特徴として、自己中心的で感情の抑制が出来ないという通説がある。金正恩が習近平を親い、頼るという構図は深く理解できる話であり、トランプとの会談直前にも中国を訪れていることからして、習近平のアドバイスを仰いでいることは間違いない。窮乏する国民生活もあって、解いてもらえぬ経済制裁の影で「瀬取り」による供給を依頼し、それに応える韓国と中国。他にもこの3国には日本にとっておかしな最新情報が多い。それはそれとして、金正恩の本心本性が根底から変わることは考えられない。今、トランプは金を野に放ち、様子見の状況を作っているのではないだろうか。それは「破滅」も「進展」も君の対応次第だと。そういえば1カ月ほど前になるが、イギリスの巡洋艦が初めて日本に寄港している。米韓共同訓練は中止しているが、別の方法で金正恩に畏怖心を植え付けているかのようだ。小さな記事ではあったが、この種の行動が与える影響はけっして小さくないはずだ。
 シンガポール会談が平和に向けた歴史的会談だったのかどうか。答えはさほど遠くないうちに出るかもしれないがすべてはトランプ次第だ。賛否両論のトランプ外交ではあるが、矢継ぎ早の関税対策が国内農業などに与える影響は小さくないというが、それ以上に支持率が40%台にアップしているという現実もある。トランプ戦略が中国を標的としていることがその一因という見方もできる。いろいろな観点から中国の「やり過ぎ」が世界中に目立ち過ぎるのは、アメリカンドリーマーとしてのトランプには許し難いという中国への宣戦布告というよりは習近平への忠告と考えるのはうがった見かただろうか。日本に影響が大きいだけに目が離せない。