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No.3009 梅雨前線の恐るべき爪痕 

2018.07.10

 6日から西日本を襲った梅雨前線による豪雨は、信じられない雨量で広い範囲に甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々の御霊に慎んで追悼の誠を捧げ、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げる次第です。

 多くは、被害者数が刻一刻と変化していく画面に見入ったことでしょう。
 当初2から始まった死者数が、短い時間で増え続ける画面。最初の内は不明者が多いので、ひょっとすると死者が増えていくかもしれないと思いつつ、救助される人が増える期待と無念な思いが交錯する時間が続く。しかし、死者数が増えても不明者数が減るどころか増えるという、過去にあまり記憶がない現象に、これは未曽有の大水害になるという嫌な予感に覆われ始めた。
 関東では6月30日に梅雨明け宣言が出て、これは前代未聞と御天気キャスターが口にするほどであったのに・・・。
 今、6時のニュースで奈良県で時間雨量100ミリを超す雨が降ったと伝えている。ちなみに埼玉、東京を襲った昭和22年のカスリン台風では時間雨量がたしか62ミリだった。現代の豪雨は想像を絶するという表現が適切になっているが、想像を絶するといつまでも言っていては災害対策上は好ましくないと言える。想定の範囲内において対策を練る必要があるということである。避難に対する認識も人によて様々だということが今回わかった。
 だいたい、1000ミリを超える雨量とは、時間100ミリが10時間続くと考えられるわけで、これでは山間部とくに地質が柔らかく、勾配のある山間部地域では土砂災害につながることは容易に理解できるし、河川の氾濫もしかりである。広島市の惨状では直径3~4mもある岩がいくつも住宅地に転がり落ちている。
 広島市内に住む会社時代の後輩に☎をした。地図で確認したら被害を伝える地区と隣合わせなのだが、なんともないという返事が返ってきた。
 自治体間支援の輪も広がっている。埼玉県やさいたま市、また本庄市などでは親交のある首長同士の連絡で水が不足しているとの現場の声に、さっそく水を送ったという。交通事情が悪化しているが、手を加えて見ているだけでは能がない。出来ることから始めることだ。
 ところで、今朝のニュースにあきれる表現があった。安倍政権は災害対策本部を立ち上げ、支援対策の協議を続けまずは20億円の支出を決定している。ところが、時事通信社は「安倍総理は世論を意識して外遊予定を中止して災害対策を優先した」と報道している。世論を意識したは余分なキャッチコピーであり、不謹慎この上ない。米朝会談でもワールドカップサッカーでもそうだが、安倍批判にすべて結び付ける報道は国として恥ずかしい限りだ。そんな記事を書く記者など記者とは言えない。具体的な政策論で異論を唱えることは、まさに言論の自由だが、前述のような表現は異論でもなければ対案でもない。未曽有の被害にからめて国のトップの人間批判につなげる見識の低さにマスコミの倫理観は地に堕ちたと嘆くのは私だけではないだろう。