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No.2951 大相撲の未来に想う

2017.12.29

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 大相撲がスポーツかどうかは議論の別れるところだが、スポーツニュースのひとつになっているのは確かである。ところが、今やスポーツニュースどころか、すべての報道番組のみならずワイドショーでも格好の材料として2ヶ月間君臨している。国の最大のニュースであるかのごとくに。
 きょうの危機管理委員長の貴乃花親方にたいする発言を聞いていてオヤ?と思った。「警察に行く前に警察に行くことについて報告がなかった」この発言の裏を考えれば「もしも報告があったら警察に行くと騒動になるから行くな」という答えが透けて見える。その場合、もしも警察に言ったら貴乃花親方は重大な指示遂行義務違反として懲罰の対象になるはずである。随分と協会論理はむしがいい。
 モンゴル相撲にいいように国技を牛耳られて、伝統歴史をないがしろにされているという声もあるが、一部それは認めたにせよ、15歳前後から食う寝る稽古の一日人生しか送っていない力士が運営する団体に近代的経営感覚が反映されているとは思えない。相撲をとるだけで20歳前後から社会にチヤホヤされ、親方株を持てば30前後で引退後は弟子を持つ。弟子を育てるというか鍛える場面で人間的に未熟な面が顔を出すのはいた仕方ない。言わばデジタル経営ではなくアナログ経営とでも言うべきか。アナログにはアナログの良さがあるはずだがどうもそれが感じられない。申し訳ないが、この騒動で顔と名を出した八角、春日野、鏡山といった親方衆の態度発言は洗練された経営陣の一角とは感じられなかった。もちろん貴乃花親方の対応も理解に苦しむ。白鵬に代表する乱暴狼藉や同部屋以外の力士と毎夜飲みふけるなどの現在の大相撲のあり方に対する危機意識が今回の手法に至ったというのでは大人げない。やり方が間違っている。
 実はもっと単純なことだったかもしれないのだ。警察に被害届けを出して直後に協会に報告すればよかったのだ。付け加えれば、その時の加害者をその場にいた全員、つまり白鵬も鶴竜もすべて対象にするべきだった。そして危機管理委員には貴の岩の入院している病院まで聞き取り調査に来てもらうべきだった。今、ここにきてはもうどうしようもない状況である。
 驚天動地な考えかもしれないが、いっそのこと貴乃花を中心に別の大相撲組織を立ち上げるというのはいかがなものだろうか。巡業ではなく、政令指定都市などでの場所を年に一度でも設定すれば充分共存共栄の道はあるのではないだろうか。もちろん、それそのものが日本の大相撲の正しいあり方と活性化につながるのであればの話だ。もうカチ上げ、張り手、ダメ押し、ケガ、そしてイジメ、暴力の多い相撲の世界から脱皮してもらいたいし、低次元のニュースの対象になってもらいたくない。相撲をこよなく愛される天皇陛下を嘆き悲しませることの無いように。