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No.2907 内部告発と内部批判

2017.08.02

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 冒頭に際しまずもってお詫びしておきます。「いつも長い文章で申し訳ありません。よろしくお付き合いのほどお願い申し上げます」

 清水一行著による「内部告発」という小説がある。総合商社の取締役数十人が子会社上場のインサイダー利益を貪り、個人資産を膨らませたという組織的犯罪を中間管理職が告発したことから物語が展開する。この告発者は現役の管理職という設定である。しかし、こうした例は実際は少ないのが一般的ではなかろうか。
 つまり、現実社会では食品会社が国産と偽って外国産の原材料を使用していたとか、消費期限が過ぎているものを改ざんして再販流通させたなどといった話は枚挙に暇がない。こうした企業犯罪が表面化する原因の第一位に挙げられるのは社員による告発ではないだろうか。そして、この場合の社員とはしたくもない退職をさせられた社員の場合が多いと推測する。

 文科省の例は前川喜平氏が再就職斡旋問題で退任した後の告発であった。
 国の大事を審議する通常国会で、厳しい外交問題や経済問題の議論を差し置いて、激しい安倍政権追求の場と化した原因は「告発」であった。
 忖度で行政が歪められたと前川氏はいうが、40年近い官僚職時代でそれまで忖度とおぼしきものは一切なかったのだろうか・・・信じられない。
 獣医師会の強い要請で半世紀も新学部が設けられず、申請があっても門前払いという事態であった。これも信じられない話だ。そもそも忖度は犯罪ではない。奢った奢られたの話も友人であれば当然と考えるのが一般的だが、安倍憎しと化したマスコミは逆の思考になる。国民は許さないとか知りたがっているとか・・・いつから反日マスコミの新聞記者は国民の代表になったのか。
 岩盤規制を打ち砕くために国家戦略特区扱いにし、ワーキンググループという識者による諮問会議に委ねる安倍政権の2段階構想に対して、そもそも事務官僚トップの前川氏は冷めた感覚を持ったのではないだろうか。であればチキンハートと言わざるを得ない。
 そして、またもや反対の姿勢を鮮明にした獣医師会がしたこと・・・当時の石破地方創生大臣に規制継続に近い陳情をし、石破氏は4条件を設けることで応じた。この陳情はとりもなおさず獣医師および獣医学部を持つ大学の存亡問題につながるという意識を原点にするものである。とくに後者は強い想いだったであろう。同会は知る人ぞ知る日本医師会と並ぶ強力な政治連盟である。民主党が政権奪取した2009年の選挙の時、茨城県医師会は自民党に反旗を翻し民主党支援に回った。当時、自民党の政策に憤怒するものがあったと記憶している。しかし、民主党による失われた3年に期待はもろくも崩れ、今また自民党支援団体の代表的存在になっているようだ。あくまでも茨城県医師会の話である。

 さて、この国会の現状にあって、マスコミにゲストで招かれ政権に対して後ろから鉄砲を打つかのごとく安倍批判を続け、民進党の議員と会合を持ったりしているのが、誰あろう石破氏である。安倍総理が2校でも3校でも獣医学部を全国展開したいと発言したのは獣医師会と石破氏の癒着に対するチャレンジ的牽制の意味があったと私は感じている。時の首相を批判し、政権交代ともなると小沢氏と新進党結党に走るといった政変経歴を持つ石破さんである。内部批判がいかに人間的信頼を失うかがわからないのだろうか。総理になりたい思いはわかるが、党をまとめトップを支えてなんぼではないだろうか。前回は志を共有した同じ穴のムジナが野党に揃っていたことから党を飛び出したが・・・それにしてもよくよく懲りない方である。

 文科省事務次官であった前川喜平氏の内部告発や陸自によるリークが国会で論争の火種となり、まるで現時点で日本国の最大の問題であるかのような騒動に発展した理由は前号で述べた反日マスコミと野党の共闘にあることはほぼ間違いのないところか。
 陸自の日報隠蔽問題も大臣に言いた言わないレベルの話であり、都議選後に公文書と思しきものの複数が野党によって示された。こうした場合、文書の出所は不明、渡り先は野党だ。民進党や共産党はこれまでもよく公文書らしきものを証拠書類として国会に持ち込んでいる。文科省問題も民進党が提示した8枚の文書が引き金になっている。これはどう理解すればよいのだろうか。
 日報問題は結果的に防衛大臣と陸幕長の退任劇にまで発展した。この点、適材適所の配置を誤った安倍総理への指摘や、有する才能はあっても防衛相の器に結びつかなかった稲田議員自身も責められてしかるべきものはある。稲田氏は国守を思うあまりに都議選で「自衛隊としても自民党を」と演説してしまったのは致命傷だった。自衛隊員だからといって皆が保守本流とは限らない。確信はないがおそらく政治思想の観点からは野党よりの隊員もいるであろう。自衛隊員は約23万人いるのだから思想一派であるはずがない。想いはわかるが、あまりにも無用心かつ稚拙な発言であった。

 我が街でもかなり前になるが、告発を期待する声が巷に多く聞こえた時期があった。詳細は今更ということにするが、この場合の告発は正義を求める声だったと確信していた。でもその確信にはとうとう行き着かなかった。考えてみれば告発を期待するというのも情けないと同時に次元の低い話ではある。
 退職者による告発は、企業コンプライアンスの欠如を外に示すものではあるが、それは腹いせによる暴露といったイメージが強い。もしも真からおかしいと感じたならば、最初にわかった段階で告発するほうが人の道と言える。ところが、この手の事件の報道では「かなり以前から行われていたものと思われます」というフレーズがともなう。ならば、他の現役社員たちはその間ずっと口をつぐんでいたということになるのだろうか。辞めてから言うのでは消費者の味方とは言えない。いやはや深く切り込めばいろいろあるものだ。民間会社であれば死に至らない限りこれくらいですむ。
 しかし、政治の世界はそうはいかない。マスコミが思想的偏向報道で国民を煽動することを隠そうともしない社会になりつつある中、国民生活との関わりで個人の腹いせ感情が入り込む余地などない。告発内容と告発者の審理が手ぬるくあってはいけない。また、公文書の管理もデータ社会にすっかり染まった時代にあって、法整備を整えてほしいと強く思う。