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No.2895 都議選直前にあたり

2017.06.29

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 自民党の各種問題がここにきて一気にあぶり出されている。自身も自民党員であるし、問題は問題として清く受け止め、戒めるべきは戒めることが大切だと思う。もっとも、驚きの人格が発覚し、元秘書が警察への被害届けを検討しているという豊田議員については離党と戒めだけで足りるかどうかというところだが、次期衆議院選挙で失った信頼を取り戻すのは限りなく不可能に近いであろう。有権者の審判がさほどに軽いものであってもならないだろう。人格修正は自浄能力だけで可能なものとは思えないからである。
 加計問題は識者の多くが語るのはルール上問題はなく国家戦略特区としての選択の経緯結果と考えるものであると。ただ前川某の意趣返しともとれるような発言とそれをもとに自民批判に暇のないマスコミ、本質の国会議論そっちのけの野党により深みにはまっている。安倍総理への直接攻撃材料として自由党の小沢氏がまたまた暗躍しているようだ。ますます政治不信は募るばかりで投票率アップなど求めるすべもない。
 前川氏の個人的行状記については、新宿の売春バーへの数回にわたる入店が事実として伝えられ本人も認めている。というか開き直っている。立場をわきまえない下劣な人格が露呈しているわけだが、それはお構いなしの状況で野党は参考人招致を求める。更迭された人間が一度反逆発言をしたのだから参考人としてどういった発言をするかは、籠池氏の例からも明らかだ。
 98枚は白紙と思われる壱万円札束をわざわざ報道陣に連絡して安倍夫人に返却しに出向くという子供じみた三文芝居は笑うどころか悲しいほどの虚しさを覚える。待ち構える報道も報道であり、こうしたところにも報道の質の低下を感じる。籠池氏が人格的に問題があるのはすでに多くの方が感じていることだろう。安倍総理のシュプレヒコールを園児たちに言わせていた人間が出来ることではない。まったく真逆の行為そのものだ。つまりは自己欲求に反すると判断した段階で豹変する人格者なのだ。いやいや世の中が信じられなくなる。
 思い出すのは、先輩議員の「えださん、政治の世界はそんなに甘くないぞ。この世界では俺は人を信じないことにしている。えださんも考えたほいうがいい」という言葉だ。たしかに実体験として厳しい場にさらされたことがある。うんちくのある言葉だ。自分に向けて発せられた言葉で印象深いものが誰にもあると思うが、間違いなく私にとってその一つである。
 友好の精神を大切にしたいと思うからか、持って生まれた性格ゆえか若い時から人を信じることを優先し、裏切られても裏切るよりはいいと考えて生きてきた。確かに政治の世界は生き馬の目を抜くところがある。個人の関係でもそうだが、しばらく一強が続いている安倍自民への異様な逆風は都議選直前になってうなりを上げて吹き始めている。

 考えさせられる問題はいくつかある。
◆内部告発という良悪の判定が難しい行為がまかり通る社会になった。これはマスコミの報道姿勢に正義が感じられるかどうかに影響を受けやすい。とくに職を解かれた人間は問題があるから解かれたという見方も可能なのだが、告発の対象となった先が格好の報道対象になるのはやむを得ない。さからこそ問題を含んでいるとも言える。
◆自民党の内部に安倍一強が続くことに苦虫をかみつぶす層がいて、マスコミのインタビューで平然と総理への批判を口にする。マスコミの報道は「ある中堅幹部は・・・・」というお定まりの表現である。その筆頭は石破グループと目されるが、実際はもっとドロドロしたそれこそ政治の世界の闇が蠢いているやもしれぬ。
◆敵失ばかりを宛にして、マスコミの報道に乗じる民進党。ことに蓮舫代表の最近の顔つきは焦燥感がモロに現れている。彼女が敵失を攻める言葉にアピール力を感じないのはやはり自らの国籍問題に蓋をしてシラを切り続けているからであろう。画面いっぱいにアップされる姿に民進党の支持率が上がらない理由が見てとれる。
◆稲田発言に周囲の評価は厳しい。確かにそこまで言って委員会的発言だったとは思う。しかし、その心情は憲法でその存在を認められていない全国20万人強の自衛隊員とその家族に対する防衛責任者としての矜持が働いた面もあったのではないかと思う。すぐに発言を撤回し言い訳はしない方針のようだが、心情を応援演説に出してしまうのであれば、少し言葉足らずだったように思う。
 もとより自衛隊否定を党是としているにもかかわらず、今は災害時などで存在感を示しているのだからあえて憲法に明記する必要はないと都合のよい理屈を発する共産党は、稲田氏即刻辞任すべきと反応したが、自衛隊に対する心情の違いはなんともいたしがたい。
◆読売・産経と朝日・毎日・中日の表現の違いを理解しようとするとき、私は国をどうしたいのかということを最大のポイントにしている。言葉の一句一句というか、わずか一文字で印象がまったくことなる巧妙さを見抜くように努力している。新聞だけでなくテレビにも印象操作は間違いなく存在している。言いたいことは、マスコミ対有権者という戦いもあるということである。
◆都議選投票4日前になって下村博文自民党東京都連会長の200万円問題が突然報道された。横領事件で解任された元秘書で都議選に立候補している平慶翔氏の告発と報道されているが、私はこういう行為を正義とは思わない。逆にこれ以上ない卑劣な行為だと感じる。前述の通り正にこの世界の生き馬の目を抜く裏切り行為は恩義もへったくりもない。一自治体の選挙ではあるが、都議選が告示されてからこれほど与党の問題が突出するのは小池都知事にとって後押しになっているのは間違いない。迷走した市場問題が選挙の争点になるという事前予測だったが、この点すっかりマスコミは落ち着いている。
 今日はこのくらいにしておこう。