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No.2801 リフレッシュから程遠い民進党

2016.09.22

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 スムーズに行かなかった民進党の新役員人事。フタを開けたら、大方の人事は政権時に役を経験した人たちの復活人事となった。
 蓮舫代表の付き合い、好き嫌い重視といった選抜基準が垣間見える顔ぶれとなった。代表選に関わる論功は、社会党系赤松議員の怒りをかったことから高い意識はなかったようだが、それでも野田さんへの格段の扱いをはじめ、安住、細野といった人たちへの感謝の気持ちは示されているようだ。

 実は、役員選任の裏ドキュメントなるものを聴いて驚いたことがひとつ。
 民進党には、委員会質疑で委員会が修羅場になる方向を意識して用意周到かつ執拗な質問をする議員が数人いる。
 荒れることを目論んだ質問は共産党が持分とする質問スタイルだが、実はそれ以上にたちの悪さを感じる左傾議員たち。
 辻元、山井、小西といった類がそれだが、福山哲郎という議員はその上をいく。たしか松下政経塾出身で塾生時代は海外での活動が多かった人だ。昨年の安保法採決時に委員長に向かって空中ダイブした小西議員を先輩の立場で煽るかのように、とうとうと総理や中谷防衛大臣の言質を取るべく質疑していた。
 曰く「集団的自衛権を必要とする相手国をどこだと推定しているのか」最後は「中国を想定しているのならとんでもないですよ」

 この福山議員を蓮舫代表は政調会長に抜擢するという提案をしたというのだ。強い反対にあって大串氏になったそうだが、福山氏の何が問題かというと、蓮舫さん自身が二重国籍の問題で議員辞職まで問われている状況にあって、なぜ帰化中国人である福山議員を政調会長という大役に抜擢するのか、その精神構造を疑うのだ。蓮舫さん独特の世論動向に対する挑戦心がゆえに、あえてこうした人事を思考したのだろうか。

 福山氏が中国籍を抜いているかどうかは分からないが、13歳の時に帰化手続きをし、陳哲郎から福山哲郎としている。
 今の中国が日本にとってどういった相手であるかは明らかであり、帰化したとは言っても祖国には誰しも抱く愛情があるはずで、福山氏は国会言動においてあきらかにそれを発揮している。そうした気質を持つ方が、万が一民進党が政権を再奪取した場合、日本の外交・防衛・安全保障問題はいったいどういうことになるだろうか。

 実は、2010年6月から翌年9月までの短い菅政権時代、当時いろいろな閣僚の不祥事と外交上の不手際で、2度に及ぶ改造が行われた内閣にあって、最初から最後まで官房副長官にあったのが福山氏。クルクル入れ替わった人事にあって異例中の異例だった。
 当初内閣で中国船による日本漁船体当たり事件が発生した。この時、中国側が何度にもわたり当時の丹羽宇一郎中国大使を呼びつけ、中国の領土である尖閣を主張し強硬な要請を展開。これに応じる形で、中国船の船長を何のお咎めもなしに中国に送還した件は、みなさんも記憶に残っていることと思う。
 菅政権が弱腰外交とネーミングされた原因は枚挙に暇がないが、この事件はそれを彷彿とさせるものだった。
 当時の官房長官が仙谷さんで、菅さんと仙谷さんの決断でおこなわれた釈放送還の裏に福山官房副長官の存在は無視できないという評論もあった。
 ちなみに外務大臣は岡田克也氏だったから、こうした外交選択も押して知るべしといったところだったのかもしれない。

 こうした議員が特徴的に民進党には多いが、国会議員になることは公職選挙法に抵触しない限り何ら問題になるものではない。がしかし、国会でつつかれる要因になるやもしれぬ人事を、この段階で模索する蓮舫さんの強気過ぎるセンスを疑う。身内から反対されるのも当然だろう。

 私は2大政党政治が日本で定着するのは難しいと感じている一人だが、共産党との共闘模索から熱が冷めない民進党を思うと、全野党が連合することで他の国とは形態の異なる2大政党制がありうるだろうかと思わないでもない。小選挙区制の選挙制度の影響も見逃せない。しかし、それでは自民党に対する思想完全対立軸でしかないので、国にも国民にも不幸な状況になるだろう。
 だからこそ、民進党はしっかり組織作りをして、まずは単独での立て直しを図るのが最優先の課題だと思っていた。それが野党第一党の宿命であり、支持率が上がらなければ政党の機能を果たすことなど不可能だからだ。
 ただ、内心は野合の集団政党である民進党に期待薄という思いも抜けず、今回の人事から、現状やはり無理難題だったと結論づけざるをえない。
 清新な安倍政権の間はいいとしても、自民党一強というのはやはり問題がある。 せっかく蓮舫さんが代表になったのなら、役員の半数以上を女性議員にするというような大胆さを打ち出したら斬新で面白いと考えていた。
 ひょっとするとやるかもしれないとも思っていたが・・・

 政党人事のやりくりはそんな夢物語はなかなかありえないと理解はしているが、やはり理解の通りになった。党内の抵抗は野田幹事長の起用で高まってしまった。
 結果、民進党は人材不足をさらけだし、有権者の心の向きを変えさせるまでにはいかなかった?
 小気味よい口さばきの蓮舫代表だからといって、それだけで国益を高めるとは到底思えない。そもそも、自分の経歴に欠かせない国籍という重要事項を「不確かな記憶で迷惑をかけた」と考えられない逃げ口上を変節3段論法の最後に吐く人だ。
 言葉こそ違え、かの迷言「記憶にございません」というのと変わりはない。使用可能なパスポートの存在もあり、国籍に対する認識が希薄なはずがないと思うがいかがなものだろうか。