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No.2777 都知事選挙のわかりやすい分岐点

2016.07.19

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 政治不信が原因の度重なる東京都知事選。前回はたしか季節的には寒い時期だったと思うが、辞任の関係で暑いさなかに行われる。陽気だけでもうんざりといったところだが、48億円もの巨額を要すると聞くと、ため息が漏れる感もあり、しっかり対応しなければと・・・いやいや私には投票権はないのだが、そう感じてしまう都知事選である。

 21人もの立候補者が届けられる大選挙戦かと思えば、実際の報道はほとんど3候補に絞られ、ネットで在特会の桜井候補の演説姿が見られる程度である。
桜井氏の言ってることはそれなりに理解できる部分もある。つまり、総連や民団を非課税特権対象としている政府は甘い。ゆえに都知事になったらしっかり課税する。公約は7つあるとか言うのだが、主にそういった話が中心である。しかし、演説途中で必ずその筋からの野次が飛ぶ。すると彼は、その野次屋に向かって、今議論するからと言って宣車の屋根から路上に降りる。野次屋は言うだけ言って、そそくさと逃げに入る。その一連での彼のド迫力の憤りぶりがなかなかなのだ。私も野次馬的に見入っているということか。

 さて、今回の都知事選。私は究極の選択だと感じている。
まず、鳥越氏。東アジアにおける日本の立場、役割、中国、北朝鮮の驚異などまったく理解できていない。この人が当選すると東京は第二の沖縄化に向かうであろうし、すでに彼自身は第二の翁長と言ってもいい状況である。
 政権批判は個人の自由だが、都政を国政と同一視することは都民無視にも近い。沖縄には、政権と対峙する社会事情があるので政権批判が選挙に絡むのはやむを得ない。東京は首都東京として国政と協調するのならわかるが、対決姿勢を剥き出しにする必要はない。
 そんな思いの知事では職員を統制することも難しいし、職員が育たなくなる。

 13兆8千億円という巨大予算を抱える1200万人都市の隅々まで行き届く政治を舵取りするにあたって、安倍政権への敵対心で立候補するというのはいかがなものか。そのあたりの反発と批判を受けて、最近はトーンを下げてはいるが、民共連合に社民、生活、さらにはシールズの応援までとなると、なにやらイデオロギー選挙と化している。事前の段階で私は話が都知事選に及ぶと、宇都宮氏は公示日までに絶対辞退すると言っていたが、その通りになった。

 健康面ではガンに立ち向かう自らの手術キャップを被った姿がマスコミを騒がし、それにより知名度が増した経緯もある。それが激務職の都知事立候補では無責任という一面も感じないではない。本当に4年(本人は8年と言うが)の任期をまともに勤められるだろうか。職務・職制を理解せずしての立候補であるのは間違いない。
 当選の折に、ブラジル行きはファーストクラス、登庁は週に2度などということになってはと考えさせられる。前者は許せても後者は考えさせられる。なにせ、素人候補は間違いないので、政治というよりは行政をしっかり勉強してもらわねばならない。

 次に増田寛也候補。職制的には経験と資質の面で一番手だと思うが、この候補が持つリスキーな点は、外国人参政権容認論者だということである。自公とならび日本の心を大切にする党が推薦を出しているが、ご存知の通り、中山議員は拉致問題解決に向けて活動する国会議員の代表的存在の方である。おそらく増田氏の思考について、条件提示しての推薦になっていることと推測するが、はたして増田氏の本心はいかに。この問題小さくはないと思っている。鳥越氏については10年日本に住んだら誰にでも選挙権を付与するべきだという自論を持っている方なのでどうにもならない。アナウンサーやキャスターにこういったリベラルな方が多いと、電波メディアが偏向報道になるのもわかるというものである。
 増田氏は候補と噂されてからの、のらりくらりの発言がどうにも歯がゆい。後出しを意識したのかどうか・・・当初、噂に登った際は出馬はない!と言い切っていたのだから政治は本当に一寸先は闇だ。
 

 最後に小池百合子候補。この方は昔から感じていたが強気な方だ。石原伸晃都連会長に推薦願いを兼ねて会談した翌日に推薦願いを取り消して立候補宣言して国民目線を惹きつけるという驚かせ作戦に出た。石原氏も増田候補を描く過程でしまりのない話をしていたのも原因で、小池氏は石原氏を見限る決断をしたのだろう。待っても推薦は出ないのははっきりしていたのだから。
 その決断は素早く、政治家に必要なものを備えていると感じさせてくれるのだが・・・やはり強気な方だ。
 当選後の議会冒頭で議会解散するなどと、なかなか言えるものではない。

 何度かお会いもしているが、高貴な方である。これは自らがそう思っているという意味である。下から目線で言葉を発しても、心は上から目線の方だと。
 その時折に合わせた政局もしくは政治家につくというのもしたたかな面を感じさせる。人間関係の絆をいとも簡単に切るタイプに私は寛容性を持ち合わせていない。
 しかし、議員と違い知事職は本来であれば組織や特定の政治家とつるむ必要はないが、議会を敵に回すと、第二の埼玉県に・・・多数派与党と知事との政争に近いネジレはあまり歓迎できるものではない。
 上田知事が、昨年の県議選で自らがサポートする選挙用会派「選択」を設けた行為などは行き過ぎた結果で、その後も知事は参議院選で民進党参議院候補との2連3連のポスターやノボリに顔を出している。当然、最大会派の自民党県議団との友好領域外にある。そこまでやってはいけないという思いに及ばない強気な人なのだろう。小池氏が当選すると議会は修羅場と化すやもしれぬ。それはそれで仕方がないと当初割り切ってもどこまで続くぬかるみぞになると、結局は都民不在にならないとも限らない。

 というわけで、冒頭の通り、私の感想は究極の選択に近いのである。
 鳥越氏ははなから対象外なので、増田氏と小池氏の比較で言うなら、この知事選に限り、個々に感じるマイナス面で、ひとまず譲歩出来るのは小池百合子候補かなとは思うが、どうしてもという人がいない場合は白票も選挙参加の在り方のひとつではある。・・・・いやいや、あくまでも都民であったならの話です。
 政策論争が抽象的に過ぎる感じの都知事選。とにかく、癒着や利権構造、公金の私的流用といった政治とカネの良からぬ騒動に無縁の方になってもらいたいと思う。これは最低条件だ。