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No.2728 国の想いと逆行する東京都

2016.03.26

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 数号前で舛添都知事一行のフランス視察について書いた。20人で5千万円強のコストがかかった視察の件である。その後、マスコミでも大々的に取り上げられ、なんと舛添氏は30万円のスゥィートルームに宿泊していた事実があきらかにされた。この事実に対して議会も都民も舛添氏を弾劾せずにいたとするなら、これほどおかしなことはない。

 今、東京都では韓国人学校に新宿区市ヶ谷にある都有地6,000平米を貸し出すことを知事判断で決定した。現在の国会状況から鑑みても、これが都民に受け入れられるはずがない。 
 案の定、都庁前では少ないながらも保育所優先を訴えるデモが発生し、数千件に及ぶ抗議のメールや電話が届いているという。
 不思議なことに、新聞によって取り上げ方が異なるのはいつものこと。

 ふと感じるものがある。舛添氏は以前より親韓国政治家として有名な方だ。その理由については語るべくもないが、彼曰く「なでもかんでも保育所というが、都有地を国際親善に使うことがなぜ問題なのか」と開き直りとも思える言葉を発している。ならば、なぜその親善の対象が韓国なのかと問いたくもなる。そもそも、昨今の状況を総合判断すれば、今緊急に韓国に対して一自治体が国際親善を唱える必要があるとはとても思えない。
 しかも、国会予算委員会で匿名のメールを原点にして保育所不足問題が取りざたされており、その問題の中心は主に東京にあるというのにだ。

 舛添氏の開き直りはこうも続く。「都民は1,350万人いる。私の支持者が9割いて、1割反対でも135万人。それが政治の世界だ」と。
 こうした発言はいかにも独裁者的発言を意味し、野党が批判する安倍総理のどこがヒトラーだかわからない中傷批判をこの方に向けるべきではないかと感じるほどである。

 私の経験では、30万円の部屋に泊まることへの決定は、役所職員が勝手に決めるはずがない。逆にそうであるなら、まともな知事であれば、その逆鱗にふれるであろう。「いまの時代に何を考えているのか!」と。
 つまり、この企画は舛添知事の要望というより指示によって決まっていると考えられる。こうしたことからしても、この知事がいかにワンマンで独裁的であるかがわかるというものだ。
 国会議員や自治体トップの海外視察の際、いったいどの程度の費用が掛かり、どれほどのレベルの部屋に宿泊しているのか。マスコミの調査能力はこうしたところに発揮してもらいたいものだ。

 地方分権とはいうものの、東京はすでに独立行政権をほぼ全面的に有していると言ってもよい。とは言え、国の状況をふまえて軌道が大きくずれることのないような指導力を発揮しなければおかしなことになってしまう。とくに、外交などの分野は国の主導権をリスペクトせずして勝手に動くことがあってはならない。
 分権で地方自治体首長の権限が拡大されることについては、良くもあり悪くもありなのだ。それは何より、その首長の資質、能力、人柄といったすべてに関わるものであるから。