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No.2711 野党議員の質疑に利なし

2016.02.16

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 通告及び答弁調整もあって断続的に行われている国会予算委員会だが、委員会配属議員が固定化されている関係で、野党側から出てくる議員はいつもと変わらぬ顔ぶれとなっている。

 維新の党では、衆議院=石関貴史、木内孝胤、柿沢未途といった若手の出番
 民主党からは、山井和則、玉木雄一郎、緒方林太郎、大串博志、階猛、西村智奈美、山尾志桜里といった面々。

 他の党も所属議員数が少ないので顔ぶれにさしたる変化はみられない。参議院では従軍慰安婦問題をここまで拡大化させた責任者の1人である社民党の福島さんなどは、出番も多いが、持ち時間の短い中で毎度安倍政権のレッテル貼りに徹した質疑に終始しているようだ。

 自民党に不祥事が多いのは慥かだが、よくぞここまでマスコミが特ダネをゲットするものだと関心する。そしてメディアは盛んに野党の尻を叩くかのような報道にあけくれる。ダブル選挙情報がかまびすかしくなっている中で、ジャパニーズパパラッチ攻勢が活発化し、まさにスキャンダルの売り手市場となっているかのようだ。甘利氏秘書のテープ音源がなぜ民主党の手にあるのかも、考えてみれば普通ではない。

 しかしながら、先の議員たちによる攻め方は、最初は威勢がいいのだがせっかくの敵失にも攻勢が続かない。最終的には、失笑が出る場面もあったりで尻すぼみ状態になってしまう。「若気の至り」というやつかなあと思って、ふいに、あの前原代表が「証拠はある!」と力説して証拠が出なかったフライング発言で世間を騒がせた「永田メール事件」を思い出した。
 民主党の世代交代が確実に進んでいると国民に思わせたところで「やり過ぎたミスシナリオ」に若手執行部が溺れた国会事件だった。これで前原さんのみならず当時国対委員長だった野田元首相などの執行部は解体し、永田さんは議員辞職後、飛び降り自殺という悲惨な結末に発展した。

 そもそも、体たらくな野党のイメージが出来上がっている原因には様々あると思う。
 維新の党は、あのどたばた分裂劇の結果、松野さんという日本を牽引する政治家としの威風に欠ける議員が代表となり、一向に党の勢いが生まれてこない。今ではおおさか維新のほうが説得力を醸し出している感じではないか。そもそも党を渡り歩く議員たちで成り立っている党なので、質疑を聞いていても強い信念が感じられないし、肝も座っていない。
 この党は、政党としての根本的問題から脱却できていない。

 民主党では、弁護士議員の階(しな)さんや、元検事の山尾女史などは、上から目線かつ甲高い声で一本調子なので、聴く側の耳がそばだたない。内容も国益を損なう発言に満ちていて、保守に非ず左に舵を切った政党色を濃くしている。山井、緒方、大串などの各議員も、押したり引いたりといった手練が無く、高飛車に押すだけなので、それをかわされると打つ手が無く、振り上げたこぶしの降ろす先に戸惑う姿がよくある。

 しかし、これも岡田代表、枝野幹事長のトップ二人が、常に政権批判とレッテル貼りを念頭に置いた発言しかしていないことと類似する。この二人ともに(とくに枝野さんは)、国を創るといった発想がまったく感じられない。選挙対策の政権批判に心が踊らされているようで、政策論争が欠如している。やはりいろいろな観点において経験が薄いとしか言いようが無い。

 大臣発言を攻めるにしても、過去の民主党政権運営を反省すること少なく、時の言動チェックも怠るがゆえに、逆に痛い目に合うというブーメラン現象を生じてしまうのも大きな要素ではある。こうしたところが、永田メール事件を連想させるところなのかもしれない。あの時の前原、永田両氏の勝ち誇ったかのような傲慢な物言いは政治家としての未熟さを露呈していた。

 私は、民主党の最大の欠点または汚点として、政治信条の異なる議員による野合の組織だということを以前から指摘しているし、これは専門家筋の意見としても比較的多い。選出区の公認問題などで簡単にはいかない事情があるのを承知の上で、民主党こそが解体し、自民党系とその他の野党に分派する必要があると思う。
 ついでに言うと、そうした観点から思うことは、小選挙区制のデメリットが、今の日本の政治の体たらくの一因ではないかと考えている。

 おそらく、今の委員会やり取りを見ている国民には「揚げ足しか取れないのか!」という思いで見ている人が多いはずだ。要するに野党側の勉強不足は否めないが、資質にも問題あり!と感じる予算委員会。こんな無益な時間を要して国益も何もあったものではない。