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No.2710 覚醒剤は国を蝕む

2016.02.12

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 今、ネットのニュース配信を見て驚かされた。
 鹿児島市内で覚醒剤が押収されたというのだが、その量がものすごいのだ。なんと100キロというのだから半端なものではない。しかも金額にして70億円というから尚更だ。
 逮捕されたのは、分裂後神戸山口組一家となった山健組員等4名。鹿児島県沖で船から船へ、鹿児島港で船から車に移され、そして逮捕に至ったという。報道が伝える場面を想定するとサスペンスか刑事物のドラマのようだ。

 清原容疑者が逮捕時、ビニールの小袋に入っていた覚醒剤がたしか1㌘だったが、数字を単純に換算すると1㌔7千万円・・・100㌘700万円、1㌘7万円ということになる。しかし、実際にはこれより高い額で売買されているとも考えられ、こうした組織の最大の資金源になっていることは間違いないものと思う。

 未だに、清原容疑者は購入ルートや購入金額について黙秘を続けているが、私は常々、虐待や暴走事故、ひいては切れやすい若者たちの刃傷沙汰などに覚醒剤で蝕まれた青少年の存在があるのではないかと憂いている。
 県議時代に、薬物依存から更生させる組織として地道な活動を続ける日本ダルクの責任者を招き、依存からの脱却の難しさと手立てを学ぶ勉強会を聴講した。心が戻ろうとしても身体が戻らないから、また心が引き戻される。テレビで見た田代まさし氏の肌やたどたどしい話に、その時の話がかぶさった。

 そして、今や40、50の世代にこれが深く浸透しつつあるという話もあるし、過去において、役人、教師、医師、住職といった広い分野でその実態が散見された。今はどうか・・・。
 島国日本を取り囲む先行き不透明感は外的要因も大きいが、こうした内部侵蝕によっても、徐々に蝕まれているのかもしれない。そう感じさせるほど、今の日本の社会変調度合いは大きいと感じている。

 話は変わるが、今のメディアや番組制作のあり方が、犯罪に興味を持ったり、殺傷器具作成にヒントを与えたりという、好奇心をそうした方向に揺さぶる内容が多いように感じるがいかがなものだろうか。理性や知性の問題だけでは片付けられないほど、そうした情報源にあふれているのが現代テレビ事情の一面にある。そういう意味では、テレビも覚醒剤の1種と言ったら言い過ぎかもしれないが、テレビ漬けという言葉は、昔からあるにはある。

 実は、清原容疑者が現役時代から薬物依存であり、それによって1試合3本とか3打席連続で本塁打を打ったという確定的でない話が元同僚の選手の話として報道されている。若い選手たちが、こうした話に興味を示さず、薬物依存が自らを蝕むことを反面教師として理解することを願ってやまない。