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No.2709 データからのプラス思考が重要

2016.02.12

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 新聞等ですでにご存知の方も多いと思うが、埼玉県と埼玉大学社会調査研究センターが行った人口減少に関するアンケートの結果は、対象となった市町だけの関心事ではないはずだ。すべての自治体にとって参考になると考えれば、なかなか有意義な調査であったと思う。
 他県のデータがないので比較しようはないが、出された数値の中で「転居意向者」の平均25.3%はかなり高いというのが正直な感想である。
 アンケートは分析してこそ価値があるので、以下私なりの思いを我が街幸手市を中心に指摘してみたいが、若干データが足りないので深層にたどりついていないことをお断りしておきます。

 調査対象に選定されたのは、川越、秩父、本庄、戸田、幸手の5市と、小川、鳩山の2町。県内の地域バランスをふまえて選定されたようである。
まずは、定住希望と(転居希望)をあらためて見てみよう。
 

川越市 69.2(26.2)
秩父市 79.6(16.9)
本庄市 71.0(22.2)
戸田市 62.3(30.4)
幸手市 65.1(29.6)
小川町 71.2(24.5) 
鳩山町 68.6(27.9)
 

 
 東京からの距離が遠いほど定住意向者が多いという結果はある程度理解できるところである。つまり、北関東3県であれば、さらに定住希望率は高いだろうと想定できるのではないだろうか。
 ならば、茨城、栃木両県に近い幸手市に関して言うならば、秩父、本庄に比して定住希望率が低く、転居希望率は埼玉都民が多いと言われる戸田市とさしたる差が見られないのはどうしたことか。幸手市民は他と比べて我が街から離れたいと考えている率が高いということになる。

 転居したい理由で「交通の便が悪いから」が、鳩山町69.7%、小川町51.7%、幸手市35.9%、秩父市33.9%でそれぞれトップとなっている、鳩山、小川の高さが際立つが、逆に幸手市と秩父市の差があまりないのはどうしたことか。秩父市の方がより高くてもいいと思う地理的交通事情を抱えていると思うのだが・・・。
 鳩山、小川両町では「老後の生活に向かない」が30%台ということで、ほぼこの2点が定住したくない理由ということになる。
 

 一方、東京への通勤至便な川越、戸田両市は「親や知人が近くにいない」というのが、36%、29.7%で高い。本庄市は「医療施設が不十分」が21.3%でトップだった。

 重要だと考える人口減少対策は、秩父市49.7%、本庄市27.4%、幸手市24.9%、小川町26.4%、鳩山町29.4%でそれぞれトップに挙げられているが、県内でも規模の大きさでは屈指の産業団地が進捗中の幸手市において、他と比べて期待度がさほどに高くはないというデータは気になるところである。なんとなく幸手市民の行政への期待度や街のこれからに冷めた目が多いように感じられてならない。
 また、川越、戸田では「福祉、教育等の行政サービスの充実」が40%近くという結果であった。
 あらためて断っておくが、これはあくまでも住民意向調査であって、行政の意向データではない。

 埼玉県の人口はほぼ現状がピークと考えられており、まもなく減少傾向に転じる予定だ。今回の結果から、「地方版総合戦略」「まち・ひと・しごと創生」等の策定にあたり、各自治体の意向がどのように活かされるか興味深い。アンケート結果である住民意向とのギャップが「あると思うか、ないと思うか」でもかなり方向性は変わってくる。自民党県議団も各分野別に議論を深めたプラニングを急いでいると聞く。
 
 幸手市のことで言えば、最近、不動産業界の関心度が低い街だという寂しい話を耳にした。戸建住宅は各地で販売されているものの、最終的に値引きされる物件も多く、そもそも世帯数は増えているのに人口が減少している不思議な現象がある。これらも、本来は詳細な分析をする必要があるだろう。
 今回の調査結果は街の現状と未来を憂う市民が現状少なくない中で、それが現実だということを確認させられたアンケート内容だったと言える。しかし、それが住民の気持であるという前提において、政治行政がしっかり打開策を講じる必要があるのは言うまでもない。

 私としても今回のアンケートを、けっして悲観的に考えているわけではなく、くやしい、残念だ!という心情において反発マインドは上昇している。だからこそ、行政にも幸手市民の元気思考にかげりが見えるデータとの理解において、なにくそ!を原点に斬新かつ大胆な街創生のアイデアを生み出してほしいものだと思っている。
 まもなく始まる幸手市議会定例会でも、せっかくのこうしたデータを元に熱い議論が前向きに展開されることを望みたいものだ。