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No.2708 政務活動費使途百条委員会

2016.02.09

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 昨年来、問題視されていた大阪堺市議の政務活動費の使途問題が新たな展開を見せている。 
 38歳の女性市議、小林由佳議員(大阪維新)の政務活動費支出に対して、堺市長が大阪府警に提出していた告訴状が8日に受理されたとの報道があった。内容は、詐欺罪、虚偽有印公文書作成・同行使罪というもので、これによって府警の捜査が開始されることになるという。

 昨年10月、住民から出された監査請求の監査結果を受けて、平成23年からの4年間で約1,000万円の返還請求を市は求めたが、小林市議は11月に416万円を変換しただけで済ませ、残りは異議申し立てをしていた。
 市は、これには督促状を送付という対抗手段を実行しており、後述する百条委員会の最終結論もあるが、最終的に返還しなければ民事訴訟の対象となる可能性もある。

 この問題については、市議会に百条委員会が設置され、今月1日の委員会の結果、12日に当の本人を証人喚問することになっている。当然、1日の時点では告訴状は受理されていなかったわけだが、その可能性が高いとの判断から証人喚問が多数決で決まっていた。
 問題となっている不適切支出は、市政報告ちらしの印刷配布代、ホームページの作成・維持管理費、名刺印刷代などとなっている。

 百条委員会は、単なる特別委員会と異なり、強い権限のもとでの事情聴取が出来ることから、不明支出に関連した業者なども証人喚問の対象として委員会への出席を求めることが出来る。
 つい最近、幸手市でも指定管理者の業務内容に不明部分があるということで平成26年度分決算が不認定になるという、あまり聞いたことのない結果がもたらされ、その調査目的で特別委員会が設置された。その際、調査特別委員会(百条委員会)でもいいのではないかという意見もあったように聞いていたが、結果は特別委員会にとどまっている。

 野々村龍太郎元兵庫県議の感覚は理解に遠く及ばないが、この小林市議もかなり住民を甘く見ていたようだ。なぜなら、住民監査請求というのは、なかなか受理されず、却下されるのが一般的だからだ。幸手市でも、一昨年だったか市の財産である香日向小学校跡地利用について監査請求が出されており、この12年間で少なくとも3回の住民監査請求があったと記憶している。そして、そのすべてが却下されている。
 つまり、住民が市政や議会、議員に対し、肝心なところで物申すことが出来る住民監査請求権だが、結果は、不受理の確率が高いのが特徴であるかのような実態もあり、十分な監査機能が働いているとは言い難い。

 こうした問題には、いくつかの要因があると考えられるが、そのひとつとして人事という点がある。人事権が首長に委ねられることが地方分権であるかの如くの流れは、場合によっては住民にはわかりにくさとストレスが増加するだけだとの意見もある。

 今回の堺市の場合、百条委員会も証人喚問も賛成多数で設置されたことから、当該議員の議会内人間関係が良好ではなかったか、または会派構成面からそうなるべき運命にあったという事情も推測できる。しかし、釈明不能な部分があるならば、議員としての資質に疑義が生じることになるのもやむを得ない。
 もっとも、議会人すべてのモラル資質が常に問われており、明日は我が身にならぬよう、こうした事例を反面教師として肝に銘じなければならないのは言うまでもない!