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No.2674 号泣県議に同情論あるはずもなし

2015.11.25

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 寒い! 気温の変化に体調を崩す方が多いようだ。くれぐれもご注意を。

 さて、寒いと言えばこの人物はどこまで有権者を小馬鹿にすれば気が済むのかと思う。そもそもこの人間こそ心が冷え切っているとしか思えない。
 元兵庫県議の野々村竜太郎被告。言わずと知れた政務調査費の架空報告問題で弁明の際に、わけのわからないことを叫びながら号泣したその人である。議員辞職にとどまらず被告人という立場に落ち込んだのも当然と言えば当然。同じ県議の立場だった私としても、虚偽のまた虚偽、詐欺的報告には唖然としたが、それ以上に何を目的に政治家を志したのかという点において憤りを感じたものだ。
 昨日はその初公判の日だったが、突然精神不安定を理由に欠席し、訪れた傍聴希望者たちを憤慨させた。

 この事件は政治家の活動の実態や、政治活動コストの関わりに対して有権者の怒りを呼び、全国の地方議会に影響を及ぼした。メディアにも大きく取り上げられ、長年続く政治不信の根をさらに深くした。
 今、彼の心に去来しているものは何か知るよしもないが、厳しいことを言えば、反省の少ない後悔の念が彼の思考の多くを占めているのではないかと思えてならない。西宮の市長選に挑戦するなど数度の敗戦を経て、兵庫県議に当選した辛抱と忍耐の人間が、そうそう精神不安定になるとは思えない。
 政治家になりたい一心で心強く頑張った精神は、その目的を達成するまでの見せかけの時限精神だったということか。
 ともあれ、すべての議員に謙虚で真摯な思考が求められる事件であった。

 反面、今の政治不信を生む原因は長い間の選挙事情に関わる有権者の投票心理にも問題はあると思う。 
 昨今の選挙選、どこでも軒並み投票率が低落傾向にあり、その少ない投票率にあって、駅立ちや辻立ちが有権者の目には根性人間として映り、投票の視点をそれだけで判断に結びつけると、思わぬ裏切りに合うという例は少なくない。選挙年齢が下がるといったいどうなるものやら。

 縁故、つながり、しがらみはもちろん、選挙目当ての見た目の根性を投票選択の意思決定に結びつけてきた「つけ」が、今政治の膿となってあぶり出されていると言えなくもない。その結果、さらなる政治不信を生む。
 言わば、国にとっても国民にとっても有り難くもない政治輪廻が長い間渦巻いているのが政治と選挙の関係とも言える。
難しいことではあるが、野々村県議の人間実態を見抜けなかった有権者にも反省すべき点はあるし、そういう意味において、この事件自体は全国の有権者の反面教師としても活きる話ではないだろうか。