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No.2670 米中露がギクシャクしている時ではない

2015.11.15

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 パリで起こった無差別テロには絶句した。がしかし、ある意味予想もしないではなかった。
 パリ市内各所で発生した爆破テロは、ISの犯行と瞬時に感じたが、ISの実行声明が出されたことでそれは確かなところとなった。イスラム独特の自爆テロはなかなか防ぎようがないところから今後への対応の難しさを浮き彫りにした。
 そして、大規模施設に数万人の観衆が訪れるイベント時には、厳重な警戒対策が講じられるのではないかと思うのだが、どうしてカラシニコフ自動小銃を複数持ち込むことが出来たのか不思議でならない。ましてや、顔立ちからして分かりそうなものではないか。

 自爆テロについては、その計画性においてISは卑劣だ。
 昨年暮れのことだったか、イスラム過激派のボコハラムが200人前後の少女を拉致連行した事件があった。人数が人数だっただけに世界に打電されたが、少数を対象とした拉致事件は日常的に発生しているはずである。
 そうした少女たちに対してイスラム信仰を強要し、自爆テロリストの一員として教育している実態があるという。今回のパリでもそうした少女たちが自爆犯の対象にされているとしたら、まさに極悪非道な犯罪集団と言うしかない。
 また違う一面では、隊士たちの妻として子供を産ませ、組織拡大と未来のテロ兵士を養成するという汚れた未来思考を実践しているとも言われている。
 

 シリアで進むイスラム戦争は3分戦の複雑な状況だが、今回のパリ事件は、今後もモスクワ、フランクフルト、ローマといったヨーロッパの大都市を対象に実行される可能性は高い。見境いのないISは、万が一核を持ったらいったいどうなるかと考えただけでもゾッとする。もはや、相手はすべての国が対象と考えるべきだろう。
 過去においては、ミュンヘンで五輪の際に、そして数年前にはロンドンの地下鉄で爆破テロによる多くの犠牲者が出ている。ニューヨークやワシントンで起こった、あの9.11同時多発テロは今だに記憶に新しい。あの場面を思い出すたびに異様な身震い感覚に襲われる。

 中国の覇権主義による米中南シナ海の緊迫や、ロシアプーチンの強気路線への変更による米露冷戦再発が、第三次戦争の勃発かなどと騒ぎ立てる一面があるが、そんなことをしている状況ではない。今の状況は間違いなくイスラムの偽善者集団がテロを手段とした戦争集団と化し、世界を混乱の渦に巻き込み、歪んだイスラムで席巻しようと目論んでいると理解すべきだ。
 世界の主要大国が力を合わせてこの勢力に対峙しなければ、罪のない尊い人命がどれだけ奪われるかを真剣に協議すべき時に来ている。私はそう思うのだが・・・。