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No.2658 公職選挙法第136条の2

2015.10.07

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ファイル 562-1.jpg まずは、左の写真に写っている案内ビラをご覧いただきたい。
 おわかりいただけるだろうか。この差出人は後援会支部長という肩書きを記載しているが、実は市内のある地区の区長という肩書きも持っている方である。
 この場合、一般的には、選挙の時だけ使用されることの多い後援会支部長よりは、区長という呼称で地域住民にイメージが出来上がっている方だと考えるべきだろう。しかも、この人物は当該地区に数人いる区長さんを統括する代表区長という立場の方である。

 ここで当該区長が、ビラに書いてあるのは後援会支部長名であって、区長名ではないと予定通り?の逃げ道を主張したとしても、実際に区長なのだから、印刷物に書いてあるかないかは問題ではない。そんな屁理屈、拡大解釈が許されると思うこと自体、危険がいっぱいなのだ。
 さらに言えば、このイベントの主が区長にビラの配布を依頼したのであれば、これは完全に違反行為とみなされることになるはずだが、こうした場合は、個人ではなく後援会がその対象となるものと思われる。
 

 区長などの立場が、選挙になると何らかの特定候補を応援するというのは、全国的にもあることだとは思うが、こうしたビラを作って、広く配付するというのは、やり過ぎもいいところである。
 幸手市長選まで20日を切った時点で、このようなビラが堂々とポスティングされ、地区によっては回覧されているというのだから驚くほかはない。
 掲題の公職選挙法第136条「公務員等の地位利用による選挙運動の禁止」に抵触する可能性の高い行為が行われている証しである。
 添付写真は、とりあえず、地区や名前が判別できないようにはしてあるが、この区長さんは、春の県議選や市議選でも選挙活動をおこなっていたとの話を多く耳にする。

 選挙倫理感が著しく欠如しているとしか思えないが、さて、市選管はどういった対応をするのだろうか。
 
 さて、この条文の解釈はいくつもあると思うが、
◆「補助金の交付、業務契約、融資、許認可といった項目で、自治体から何らかの受託関係にある団体等に、その自治体に関わる公務員が選挙における依頼行為を行うこと」
◆「自治体から報酬を受けている区長のような特別公務員の地位にあるものが、特定の候補者の名簿集め、ビラ配り、戸別訪問などをすること」

 私は、選挙という選挙にこうした行為が平然と行われている可能性が高いと感じているが、それは幸手市だけのことではない。金にまつわる違反でない限り、摘発されることはないと考えているなら、猛省を促したい。
 そして、来年から新しく選挙法が変わるが、時代に即した内容に、そして我々に理解しやすい内容に改正することも視野に入れるべきだろう。