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No.2614 条例破りは自己倫理と政治信条の欠如

2015.06.18

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 今日は、選挙権、学校制度改革の法案成立、そして党首討論など、日本の社会が大変化する話題が多くあって、頭の整理がたいへんです。しかし、前号に関わる上田知事の決断が示されたようなので、この話題を再度取り上げることとしました。

 前号№2613を投稿クリックして間もなく、上田知事の記者発表がおこなわれたようだ。すごいタイミングという実感ではあった。まあ、辞退表明の可能性もわずかにあったかもしれないが、予測通りの結果だった。
 
 「県民の期待を裏切るわけにはいかないとの思いで、4期目に挑戦することにした。政治信条を曲げるという不名誉よりも、県政発展のために県民の期待を実現する道を選択した。条例を守れなかったことについては深くお詫びをする」

 この発言から、上田清司という政治家が責任感に乏しい人物だと感じられてならないのだ。
 言葉の揚げ足取りは良しとしないが、そもそも政治家が政治信条を曲げていいのかということ。不名誉を受けても選挙に勝てば許されてしまう、人の噂も75日といった甘えが見えること。守れなかったでは他人事のようで、守らなかったのではないか!ということ。

 なにか、すでに県民の多くが自分を支援しているという絶対的な自信を裏付けるような発言で、挑戦を表明した上田知事。最初に詫びを入れてしまえば、県民を納得させられるだろうとの意図が見えるが、条例破りに対する巷の意見は、それほど甘いものではない。詫びてすむなら警察はいらないという昔から言われていることがあるが、そういった思考の有権者は更に増えることも考えられる。
 なにしろ、この結論を表明する前段の言い訳に

「法律は守らなければいけないが、条例は努力義務ということだ」と発言している。くどいようだが、自己都合優先の我田引水は歴然なのだ。

 それ以上に、結論にあたっての調整・・・上田さんと主義主張を同じくする中から、別の候補者の出馬の可能性があったのかなかったのか? 上田さんを身近で支援し続ける周囲の実情を勘案する必要性は? ひょっとすると過去の選挙戦で要した費用が尾を引いていて知事を続けたいのか? 他の政党・会派からの支援の確約を取り付けられたのかどうか? 巷の政治好きはいろいろなことを考えるものだ。
 自らの勝気な性格もあるだろうし、なにより、自民党が出馬交渉をしていた天野篤氏の登場に翳りが刺したという状況において、条例破り覚悟の挑戦を決断するに至ったと考えるのが妥当と思えるが、真相はわからない。

 
 上田知事が、多選自粛条例を自らの意志で制定したことと、その必要性を訴えた理由を考えると、今回、4期目の挑戦を簡単には口に出来なかったことは容易に推測出来る。しかも、当初は自粛ではなく禁止を想定していた上田さんだった。
 要するに「多選は利権や癒着を生むことになる」という理由を聞かされる側にすれば、確かに重たい内容であり、制定の価値は高いと考えるだろう。ましてや、国会議員も経験し、政治の世界にどっぷり浸っていた上田さんがそう言うのだから、納得するのも当然と言える。

 しかし、よーく考えてみて欲しい。
◆上田さんは、自らに利権・癒着の可能性があると考えて条例制定が必要だと思ったのだろうか? 
◆それとも自分はそういった渦には巻き込まれる人間ではないと確信を持っていたのだが、今後のこととして条例は必要だと考えたのだろうか?
 これは、どちらを考慮しても上田知事4期目挑戦を後押しするものではないことが理解できる。
 前者は、そうであるなら4期目になってその可能性があるかもしれないということになるから、とても受け入れることはできない。後者は、そうであるなら、創った上田さんが守ってくれなければ次世代後世のためにまったく役に立たないことになる。しかも、最初の選挙戦でなぜ公約にしたのかということになる。公約にしたからただ単に意地でというものだったのだろうか。
 どちらでもないとなると、単なる選挙パフォーマンスだったということになるが・・・。

 それを守らない条例破りを指摘されたら、またまた強気に意地を張った。常に自己都合が優先しているとしか考えられない。
 埼玉政界の一部から推薦の言葉が出ているのも、挑戦表明に必要な外堀を埋める戦略と思えてならないし、経済界についてもしかりである。
 しばらく前のことになるが、市長会の推薦理由を論破するブログを投稿したが、その後に示された町村議長会の推薦理由には情けないほどに驚いた。

 「町村議会は上田知事に非常に目をかけてもらっており、新しい人が急に出てきても心配」 
 町村議長会の会長は県央に位置する町の議長で、ちなみに、この町の町長は知る人ぞ知る強力な上田支援派首長の一人である。 

それにしても、言うに事欠いて非常に目をかけてもらっているから上田さんでいいとはよくも言えたものだ。これがいかにおかしな、不穏当な発言であるかは説明するまでもない。今までが保守系知事としてオールランドでの支援を得て選挙戦を楽にしのいできた上田さんだが、今回は自らが生じた混乱において、県内真っ二つの選挙戦になることは間違いない。(これが最も罪の重いことだと私は感じている)となると選挙で応援したかしないかが、その後の県行政との関わりに影響するとしたら、それこそが利権や癒着の発露になる可能性もあるし、なにより、上田さんが4期目に当選した暁には、暗黙の強権差別政治が形成される可能性は高い。その前に選挙戦で応援を強制するような雰囲気が作られていく可能性もある。
 そういう意味で、市長会や議長会は中立を貫いて一方の支援を表明するべきではなかったし、ここまで揉めた状況下において上田さんはきっぱりと身を引くべきだったのだ。政治行政とは、トップの感情に起因する低次元な面が多々ある世界なのだから。

 新しい人が急に出てきても心配・・・ならば、上田さんは永遠に議長会の望む対象ということか。上田さん自身が急に知事になった人だし、トップの入れ替えをしないマンネリズムこそが最も心配なこととは思わないのだろうか。
 結局のところ、言わされているのか言っているのかはわからないが、総じて上田4選挑戦ありきの苦しい理由作りでしかない。怒りを通り越して情けないという思いが募るばかりだ
。