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No.2567 選挙戦の大義

2014.12.05

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 選挙戦序盤の昨4日、各マスコミは自民党300議席も!と一斉に報じた。マスコミのこれまでの報道を見れば、これが自民党に対する好意的な意味合いをもった記事とは思いにくい。実際に「流れ」が感じられない中で、「ほめごろし」とまでは言わないまでも、今後どういった報道が繰り広げられるか、まだまだ10日も残されているわけで、中盤から後半に至る選挙戦は気が抜けない、というのが本当のところである

 さて、今回の選挙の大義を熟慮してみた。
 まずは、アベノミクス解散ということで、これを継続することに是か非かの国民審判を受けるという大義。これは素直な安部政権の国民に向けた選挙大義だと考えるべきだと思います。
 民主党政権下での経済から、安部政権に代わって以来、徐々に進行してきた円安は、それまでの行き過ぎた円高を是正し、デフレ脱却への好循環を示してきました。平成25年度の法人企業統計において、製造業を中心に経常利益は大幅に改善されており、これは100万人ともいう雇用者数の増加にも結びついています。消費税3%のアップは確実に社会保障に充てられている状況なども、考えてみればわずか2年のこととしては驚きの類に入ると思います。
 しかしながら、政府の推進により、賃金の引き上げへの動きが広がりをみせてはいるものの、物価変動を考慮した実質賃金はマイナス傾向を示し、個人消費の回復が遅れています。
 そして、7-9月期のGDPがマイナス1.6%と、2期連続でマイナスになったことを受け、次に予定しているプラス2%の消費税アップは時期をずらしたほうが良いのではないか。しかし、3党合意のもとに確定した消費税アップですから、それを変更するとなると選挙で国民に問うというのも十分理解できるのであります。民主党もこれには賛成しているのです。

 ある政党は株高を批判しますが、これも私は二つの理由から日本経済に与える好影響を感じています。まずは株高は海外の日本に対する信頼感が根底にあるということと、この株高によって年金などの運用資産が28兆円増幅しているということです。たしかに、日本人で株を運用している個人は10人とか20人に1人と言われていますが、持っているからといって誰もが利益を得ているというものではありません。株式とはそういうものだということです。金持ちばかりが儲けているという説も、それには年金ファンドも含まれているということであれば、社会保障を考える意味では批判は当たらないのです。

 さて、ここまでがアベノミクス解散の立派な大義であり、安部総理はここに解散理由を絞っています。
 しかし、もうひとつある大義はアベノミクス以上の理由になると確信できるものです。それは。世界の日本、国際関係の中の日本の舵取りをどの政党にゆだねるべきか!ということです。

 今や、軍事・経済の両分野で世界第2位の先進国となった中国との関係は、まだまだしばらくは予断を許さない状況が続くものと思わなければなりません。太平洋進出を大願として東シナ海から日本領海まで、海洋覇権をあからさまに不気味な侵犯を続ける中国との関係をどう構築していくかは、すなわち経済をも包含する最も重要な部分なのです。単なる暴走国家である北朝鮮や、理性に乏しい韓国などは中国との未来構築を考えると、その比ではないのです。実際、韓国も北朝鮮も中国を意識しなければならない関係にあります。
 日本は、欧米や東南アジア諸国から、東アジアの平和維持と経済進展に欠かせないリーダー国家として期待されています。
 あまり思い出したくはないが、小沢、鳩山、菅といった人たちが行った外交でどれだけ国家の威信が落ちたか、諸国からの信頼を失ったかは記憶に新しいことではありませんか。民主党が実践した頭を下げ、腰を低くした弱腰外交では相手を利することになるだけではありません。小沢流の膝まづき手法では、当時副主席だった習金平を、天皇陛下と同格扱いの謁見をするために宮内庁規範を破るようなこともあったのです。こうした事実はとても忘れられるものではありません。

 紳士的な対応が通じない国だというのは、過去何度となく実績があるし、現在、香港問題でイギリスとの確執が生じている問題を見てもあきらかです。
 さらに、沖縄知事選の結果に中国がほくそ笑んだと言われていますが、それと同様の結果が国政選挙で示された場合、いったい日本にどういう未来が待っているのか。
 こうした視点で考えてみると、今回の選挙がどれほどの大義が裏にあるかご理解いただけるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 アベノミクスがどうも駄目そうだとか、心配だからとかいった思考は、それこそ、国がふらついていることを内外に示すだけのことです。有権者である国民が迷走するというか、させられては国の根幹がゆらいでしまいかねないのです。消費税の2%上げも、社会保障の充実を考えれば、いずれは必要なことだと理解すべきことと思います。

 こうした話しになると「自民党は嫌いだから」が真っ先に口に出る人がいます。理由は明解ではありません。まるで、強すぎるジャイアンツに対するアンチ巨人的思考に感じるのですが、政治にはアンチ的思考は無益です。ならば、どの政党に国を任せたいのか? 任せられるのか? 
 小渕、松嶋問題はありましたが、その内容は過去にあった政治資金疑獄とは異質で早くから沈静化に向かいました。マスコミも野党もこれを選挙の争点にできないでいるのが現状です。すべてとは言わないまでも、3年半の下野で自民党はその実態を着実に変革したと確信できるのです。

 最後に、普通、野党であれば議会を解散に追い込み、議席増加の絶好のチャンス、今の小選挙区制であれば、4年待たずで政権奪取可能の機会ととらえるべきところなのに、野党はこぞって解散がおかしいがごとくの主張に終始しています。本来、解散成立時にバンザイすべきは野党のはずなのですがさにあらず。これでは野党の野党たる姿ではありません。これは、政党基盤が軟弱なことと、現政権の高い支持率の影響もあって、新たな政治信念を持った党員獲得がままならない状況が続いていると言えます。県議会をみても、多くの県で離党者が出ているという実態があります。したがって、結局は候補者擁立が間に合わないという状況が発生しているわけです。

 長々と語りましたが、これほどに今回の選挙は安定政治を実現するための、世界に日本あり!を示すための大義ある大選挙だと思う次第です。
 私はこれまでに政治信条はブレたことはありません。今回の選挙も信念をもって対応していく所存です。