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No.2247 計算していたサプライズ

2012.10.26

 石原都知事のその日退任記者会見には驚きました。もちろん、突然思い立ったことではなく、かねてからの計画ではあったわけですが、そのサプライズデーを10月25日に選択したのはなぜか? といったところが大方の興味のようです。これにはいくつかの事情が考えられます。
◆野田首相が横取りする形で尖閣を国営化したものの、その後なんら実効支配に関わる行動をみせないこと。(官僚が留めているのか?)
◆自民党総裁選で敗れた長男が、表舞台から去った状況に、親として無念の思いを共有していること。
◆「近いうち解散」が現実味をおびてきたこと。
◆究極の生涯目的である総理総裁を手中にできるタイミングであること。
◆なにより軟弱な国政によって日本の先行きがおぼつかないことを憂いて。

 まだまだ読者の皆さんが感ずるものはあろうかと思いますが、にわかに囁かれ始めた解散総選挙日程と新党結成のタイミングを考えると、「今この時」という思いに至ったことは大いに推測できるところです。
 漂流する日本国の現状にあって、斬新なアイデアを有する唯我独尊タイプのトップ誕生の可能性に大いに期待度は上がるのは間違いありません。
 ただ、私は次の点について両手をあげては歓迎できないと感じています。
■マスコミはオリンピック招致を掲げた本人としてどうか?という。しかし、それは国レベルに上げて招致活動をすればいいし、それはより高度な解決策になるはず。それより、尖閣購入を訴えて14億円もの寄付金をうけた責任者としてその処理をどうするのか ?次の知事任せなのか。
■3年前の民主党同様、中央官僚制度の打破を訴えているが、80歳という年齢からして長期戦になるこの実現性に疑問は残る。同胞の立ちあがれ日本の5人の平均年齢は72歳である。
■若さと情熱と辣腕さを橋下さんに認め、連係を模索するとしているが、私は橋下さんには石原さんとは質の異なる唯我独尊を感じている。そういう意味では、いずれ、この二人はぶつかると思えてならない。
 それと、橋下さんには攻められるとエキセントリックに2倍3倍攻め返す場面がちょくちょく見られる。いわゆる懐の深さを感じられないのだ。この点は石原さんにも同様の感覚は見える。つまり、質は違うが似たタイプなのだ。
 さらに、橋下さんについては「報復の精神」が異常に高いのも気になる点である。画面で感じるやんちゃ性と自信満々の顔付きに、何かが欠けている感がいかんとも否めないのだ。ヒットラーとまでは言わないが、そのあたりに独裁タイプと言われる所以があるのかもしれない。まだまだ人間として成長していく幅が残されている人材という見方もできるのだが・・・。
■亀井さんと共同路線をはるとすると首をかしげる話になる。亀井さんは、もはやブレーンも無い昔の政治家でしかないと思います。

 いずれにしても、個々の政治家評価で石原さんと組むならば、無条件ですべて素晴らしい政治家だとは思えない。そこまで信じると、再び3年前の二の舞になる可能性も無きにしも非ずである。
 今回の総選挙、日本がさらなる迷走を続けないためにも、マスコミの投票誘導もしくは非誘導報道に、私たち自身が惑わされないことが最も大切なことだと確信している。
 また、この状況を見て、早速「解散」は来年だと口にする民主党および輿石幹事長は、やはり姑息としか言いようがない。こんな政党に国を託した私たちにも大いに反省の余地はあると思うが、いかがなものか?