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No.3666 国枝慎吾さんの凄さ

2023.02.09

 だいぶ春を感じる朝になりました。ところが、また明日あたりには積雪予報だとか。過去には3月に大雪となった記憶もけっこうあるので、そんなことを繰り返すことで春を待つ喜びが増すのかもしれませんね。ただ、近頃は春が短くその後に到来する熱署の夏まで思いが届いてしまいがちで真の春爛漫を味わいきれないのがなんとも言えない感じではあります。

 今日は久しぶりにスポーツの話題を。
 国枝慎吾選手が豪オープンでの優勝後引退を表明しました。まだ38歳ですので一般的にはこれから円熟味を増す年齢とも言えますが、やはり脊椎腫瘍という難病を克服しての選手生活を維持するのは健常者の想像のはるか上にあるものと思います。4歳時に腫瘍摘出手術を受けたということですが、そこからのたゆまぬ努力・・・いや努力という言葉一つではくくれない難行苦行が其の後の車いす生活にあったはずです。
 身障者とかマイノリティーという表現を極力嫌う国枝さんの凄さは実績からもあきらかです。単純に言えば、年を跨いでの5度にも及ぶ年間グランドスラムです。これを並み居る外国人アスリートとの対戦の結果として成し遂げているのは正に脅威そのものではありませんか。

 その国枝慎吾さんに国民栄誉賞の授与!という話があります。素晴らしいことです。
 同賞には低迷政権による明るい話題提供目的の浮揚策、それと、新政権のご祝儀的な使途が話題になったことがあります。確かに、過去を振り返るとそうした点は否めません。たとえば、2009年の麻生政権がリーマンショックで低迷し、更に年金問題が取り上げられ支持率を落とした時期、1月、7月の2度ありましたが、同年9月に民主党に大敗。新たに誕生した民主党鳩山政権が12月に同賞の授与をし、年間3度目の授与をとなったのです。
 また、民主党野田政権時の2012年11月に同賞がありましたが、12月の衆議院選で自民党に敗れ、翌年2月に安倍政権が同賞を。

 
 以上は受賞者に問題があるわけではないので、誰だったかは示しませんが、最も新しい2018年の羽生結弦さんの時、五輪2連覇が対象なら3連覇した柔道の野村選手が受賞しないのはおかしいといった巷間の騒動がありました。少し遡ると吉田沙保里さんの受賞時には伊調馨さんは?という疑問も出ました。試合結果だけではない感動分野が対象になったと思いますが、常に世間の話題になるのは国民栄誉賞だからこそと思えるのです。ちなみに、伊調さんは五輪4連覇という超人的実績により自らの力で同賞を得たのです。
 今回、国枝慎吾さんが正式に受賞となれば、世間には何の異論もないものと思いますし、これによりパラスポーツの世界が更に大きく羽ばたき、多くの人たちに夢と希望をもたらすものと確信します。
 義足の選手が椅子に座った状態で猛スピードでゲレンデを滑降したり、激しいぶつかり合いで車椅子ごと倒れても自分で起き上がりボールに執着するバスケット等々。その戦う姿は障害に障害を重ねかねない危険を感じさせる場面が多々あるパラスポーツが、一段と輝く国枝さんの受賞実現を期待し、喜びたいと思います。
 国枝さんの豪オープン優勝も引退表明も、たまたま岸田政権の支持率低落時ということであって、政権浮揚策だなどとのプロパガンダ報道やSNS投稿が無いことを祈ります。