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No.3449 印象を悪くする目的の五輪反対

2021.08.06

 東京オリンピックも残すところ2日。数々の物議を生んだ世界の祭典もその幕をまもなく閉じることとなる。
 人それぞれに各種の思いが残る大会ではあるが、野党と左派系組織の五輪反対プロパガンダが最後まで続けられる状況に残念な思いがしてならない。
 5日の衆院議院運営委員会で、立憲民主党の小川淳也氏が「新型コロナ感染拡大の中で、大運動会をやっている。自粛要請が市民に響くはずがない」と。また、共産党の塩川鉄也氏は「五輪が国民の意識に与える影響は大きい。今からでもオリパラの中止を決断すべきだ」と、それぞれ発言した。思想信条いろいろあれど、大運動会発言は選手に対して失礼そのものではないかと思う。
 さらに、某左翼系機関紙には「本当にフェアな五輪?」「最高から遠く」「コロナ感染不安で出場断念」「条件に格差 日本ばかりが有利」「日本は金メダルが期待される競技は強化費も潤沢で高級なホテルに陣取る」の他に、アメリカ女子体操のバイルス選手の団体戦欠場に関して「1年延期した上に無観客。慣れないことが多くてこの大会は非常にストレス」とし、開催強行が招いた悲劇と書いている。どこの国の機関紙かと思う。ゴルフやテニスで観戦不安から欠場した選手が相次いだとも指摘する。賞金の無い、国の名誉だけの為にあえて出ようとは思わない選手もいることを認めたくないようで、ここでもコロナ感染への不安からと理由を限定する始末である。
 そもそも、どんなスポーツにもホームタウンデシジョンというものがある。開催国、開催地に有利なのはすべてのスポーツに言えることであろう。これが基本であり、コロナ不安は世界中すべての人間が感じていることであり、出場するかしないかは個々の選手の意志に基づく。日本の選手が高級なホテルに陣取るというのはどこまで事実を伝えているのだろうか。日本の選手が厚遇されていると言うが、中国や北朝鮮、韓国の比ではないだろう。勝てば2年間の徴兵義務が免除されるなどの例は、どう評価するのか教えてもらいたいものだ。

 今、五輪を中止した場合、いったいどのような問題が生じるか想像もつかないが、確実に日本に対する海外の評価は低落することと思う。したがって、喜ぶのは先の3ヵ国くらいかもしれない。
 アメリカのバイルス選手の話の事実は、7月27日の団体戦の跳馬が不調に終わったことから、それ以降の演技をすべて欠場することを表明したことに端を発する。しかし、バイルス選手のメンタルヘルスの問題は、延期や無観客というものではなく、大会中に叔母が亡くなったという一報が入ったことによるものだったというのだ。ところが、個人戦平均台の出場権利があったことから、順天堂大学が特別に練習の場を申し出ることでバイルス選手を励ますことになったそうである。そして、バイルス選手は8月3日の平均台に出て銅メダルを獲得し、満面の笑みを見せ、同大学に感謝の弁を述べている。そして、このことをインスタグラムに投稿した途端、142万人の「いいね」が世界から届いたそうである。今ではもっと多くなっているものと思う。

 多くのメディアや野党が批判の為の勝手な理由をこじつけるのは今に始まったことではないにしても、もう少し温かい目で見ることが出来ないものだろうかと、今回の2020五輪でつくづく感じている。それにしても、大運動会とはよく言えたものだ。国会で問題視すべき発言、少なくとも撤回謝罪もしくは厳重注意に値するのではないだろうか。
 大人の喧騒な世界とは無縁に、勝って泣き、負けて泣くアスリートたちの超絶競技に一喜一憂しながら画面に見入る子供たちがいることを忘れてはならない。五輪は教育的見地からも大切な価値観を持つはずだ。しかも自国で開催されている半世紀ぶりのイベントに夢を追いかける子供たちに水を差すようなプロパガンダは無用であろう。五輪に反対している家庭では五輪を見ない見させないのだろうか。いや、主義主張と整合性が無かろうが、矛盾しようが、子供には観せてあげて貰いたいものだ。