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No.3434 政治家の報酬

2021.06.24

 秩父市議会定例会最終日は幸手市と同じ22日だった。直前の市長選挙で勝利した北堀市長は、数号前のブログでもご紹介した県議時の先輩だが「困窮する市民に寄り添い、ともに乗り越える」として90%の給与減額を選挙公約で訴えた。こうした場合、概ねはパフォーマンスだとして市議会が否決する場合が少なくない。もちろん、自分たちも減額しなければならない雰囲気に襲われるということもあるだろう。
 しかし、秩父市の場合は21名の議員のうち17名が賛成し、反対は共産党議員3名プラス1の4名という結果だった。賛成議員の理由としては「ありえない減額率だが選挙の公約に掲げたことで民意を得る結果となった」と。反対の理由は「常識を疑う。市長は365日24時間行財政運営に対する責任がある。果たしてその激務に耐えられる給料とはとても思えない」うん?この論理、逆手に取るわけではないが、激務に耐えられる額とはいかなる額かと思うのだが・・・。額によっては大志を抱いてなった政治家であってもやる気が失せると言ってるようにも聞こえる。
 この減額は任期いっぱい続くというもので、確かに思い切った減額だが、私は北堀市長の男意気として理解している。3度目の挑戦で、なんとか街を元気回復させたいという思いをこの公約に示したかったのだろうと。確かに政治家とはいえ、誰もが恵まれた経済環境にあるとは限らず、地方議員の場合、生活面と結び付けて報酬を思慮するパターンは多いと思う。というよりは、経済状況にかかわらず、金の持つ魔力に引き寄せられるのは人の常、世の常なのだろう。すべてとは言わないが、国会議員の集金力への飽くなき欲求がそれを示している。
 現実には、地方の小都市の議員報酬では若い人の挑戦者・希望者が出てこないというのが社会問題にもなっているのだ。本職が別にない限り4年間の保証しかなく昇給もほぼ皆無の地方議員に、若者が大志どころか生活設計を描けないのはわかる話だ。そういう意味では、北堀市長の心意気は誰にでも真似できることではない。私が県議に就任した2011年5月のこと、全県議20%報酬カットが前月から行われていた。言うまでもなく3月11日発生の東北大地震に配慮し、当時の自民党ベテラン県議の一声で決まったことだと聞かされた。全国でも速効の決議だったようだ。年額で約250万円程度だったが違和感はなかった。最初の段階就任時からということもあったし、市議時代の報酬の倍近い県議報酬ということもそう感じさせる要因だったと思うが、なにより社会情勢を鑑み、報酬の源である税金を戻すという感覚が優先した。
 今思うのは、そうした災害配慮の先頭に立ってきた県議会が、コロナ対応を理由とした知事の報酬カットにもなかなか同意せず、自らのカットにはまったく意思を示さなかったのはどうしてだろうかと不思議でならない。
 北堀市長の減額幅は、年換算で1370万円にのぼるという。任期までとしてこの4倍だから市の財政面には有効な額であることは間違いない。今後の市政運営において報酬減額をあえて口にすることなく職員や市民と切磋琢磨していってもらうことを信じ、心から応援したいと思う。