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No.2189 「強運」小沢一郎

2012.05.31

 昨夜は久しぶりにストーブの世話になった。まだしまわずにいて正解だった。もはや、おかしいのではなく、これが通常になったのかとも感じる近頃の陽気。政治にも言えることなのかも・・。

 予測通り、野田首相と小沢氏の会談は物別れに終わった。いや、けっして断言はできない裏があるのが政治ではあるが、これはあまり裏らしきものはなさそうだ。
 面白いのは、大NHKが小沢さんを招いて長時間インタビューしていたが、結局は彼一流の国民騙しの持論を展開させる機会を与えた格好になっていたことだ。
 小沢さんの言葉には「国民の皆様に約束した・・・」というフレーズがふんだんに発せられる。しかし、この約束の対象が実は見事にすり替えられていることに疑問を感じずにはいられないのだが・・・・。
 というのは、消費税増税論はたしかに民主党政権1期目4年以内には議論の対象としないというマニフェストがあった。これはやらない約束のマニフェストの代表格というか、ここに小沢さんの過去に懲りた選挙戦の実態経験が裏打ちされていると考えられていたはずなのだ。
 だから、国民に約束したという点においてはその通りなのだが、政権奪取後の状況は、言っていたほどの隠し財産は出てこないし、扶助費は上がるし、経済は立て直らないどころか、欧州危機の余波を受けるしで、誰が考えても消費税増税議論にふれないわけにはいかなくなってしまったのが、この2年半の状況変化と言える。

 ところが、自らが被告となった裁判で大見得を切れなくなっていた小沢さんだったが、まずは無罪となったことでマスコミが一斉に大物政治家どう動く!とばかりに紙面を埋める毎日となり、100人ほどの党内信者を抱えることから政局にも影響あるということで、小沢さんの主張が注目を浴びることとなった。
 息を吹き返した途端に会期日程がつまった国会で2割程度しか法案が決められない現政権に対して、面倒を見るどころかつぶしにかかるのが小沢さんの真骨頂と私は理解しているのだが、はたして・・・その通りになっている。
 過去のほとんど全てがそうした展開の渦中にあった政治家だし、安倍政権の誕生後、世界に歓迎、評価された安倍首相をつぶさないと大変だとばかりに、徹底的に年金問題や閣僚失言などの自民党自滅を世に問い、結果参議院選勝利を得て、何もかもノーを突きつけ、安倍政権打倒を実現したことは、今の低迷日本をもたらした戦犯だと私は考えている。小渕政権しかり。

 消費税増税に反対してくれる小沢さん、と国民の一部は思い込んでいる風潮があるとしたら、それこそが本来のマニフェストを国民がいつのまにか風化させられているのか、自らしているかのどちらかだ。だからこそ、小沢さんは強運の持ち主だと私は思うのだ。絶好のタイミングで国民が望まない問題が国会論議の中心になっていたのだから、まさに強運ということではないか。
 しかし、よーく考えてみたい。埋蔵金、暫定税率廃止、子ども手当、後期高齢者制度廃止、官僚主導から政治主導などなど・・・実現を約束したマニフェストの多くは今どうか! これにはほとんど触れようとしない。
 選挙に勝利するために全年代層を意識したニンジンを戦略として考案した張本人は選挙責任者たる小沢さんそのものだったはずだ。
 小沢さんは問題をすっかりすり替えている。それも民主党内をまとめるのではないというところがこの人らしい。なぜ、反対したのかもすっかり綺麗事、国民騙しの大理論を大上段に口にする。冗談ではない!

 脱党、結党を繰り返した強腕と自党破壊論の持ち主は、たしかに実行力と資金力がともなった実力者であったのかもしれないが、これまでの経歴を評価するならば、明るい日本を導く指導者だったかどうかという点で、皆さんはどのような感じをお持ちでしょうか。
 私は、日本の政治の質が低下したなあと思う時、この人の顔がまず浮かぶのです。