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No.3331 北朝鮮の増長

2020.10.12

 北朝鮮が約2年ぶりに大規模な軍事パレードを行った。それも午前零時という深夜のことで、名目は朝鮮労働党創建75周年記念日である。そこでは、2年前に登場した「火星15」を上回る新型ICBMが公開されたという。それは、見た目に大型化しているのがあきらかで、米大統領選がどちらに転んでも、対米交渉を有利に持ち込む狙いが透けて見える。つまり、専門家筋の見方にはゆうに米大陸に届く可能性もあるようだ。
 トランプ大統領をして、「ベストフレンド」とか「ベストパートナー」とまで言わせている金正恩。大統領のコロナ感染で見舞いの言葉を送った直後である。習近平には何かあるたびにお祝いやらを発信しているので、米中相手にラブコールを送り続ける外交手腕は偽善的かつ幼稚な感覚は否めないが馬鹿には出来ない狡猾さも偲ばせる。
 食糧飢餓が続く国ゆえ基本的に莫大なミサイル開発費は中国との関係から捻出していると思うが、それで製造したミサイルでアメリカとの対等性を保持しようというのは、両国間を上手に立ち回っているとも言えるし、それが目的でもあるかの金正恩といえるのではないだろうか。アメリカとの対等性と言っても、北朝鮮にとってアメリカが発する経済制裁が怖いのであって、これまでの経緯からはそれ以上のものではない。反面、日本にむける敵視眼は強烈なものがあり、そういう意味において安保が抑止力になっているのは間違いない。そういえば、今回の軍事パレードで見せつけた最新兵器を「戦争抑止力を継続的に強化するため」と語っているが、それほど綺麗なものでは無いだろう。
 北朝鮮という国は、中国からみれば対米戦略上、最も都合よく使いやすい国であることは間違いない。