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No.3320 強い信念の人

2020.09.03

 昨夕の菅官房長官の総裁立候補会見をつぶさに見て以下のことを感じた。
 安倍政権を継承するという、現状のコロナ対策がまだまだ求められる状況で当然の意志意欲を示した。また、7年半のアベノミクスの成果がコロナ問題で逆に批判の対象になっていることにはまったく動じない姿勢にも見えた。それでいいとも感じた。
 なにより、自らの生い立ちを語りはじめたところに意志の強さを感じた次第。なぜなら、安倍総理は政治エリートの家系を根底にした政治家だが、自分は秋田のいちご農家の出で、農家を継ぐことに向き合うことを否定し、高卒で東京に出てきた。2年後に法政大学に(おそらく)苦学して入り、それからの厳しい東京生活が偲ばれる話だったが、その後の社会人生活を経て小此木大臣の秘書になってからこの人の政治家としてのスタートが切られたわけで、これは決定的に安倍総理とは異なるものだ。実は、この記者会見で国民に説明したかったのはこの点だったのだろうと理解した次第である。
 庶民レベルの感覚感性を経験とともに有している総理の誕生となると日本ににおいては久しいはずである。これを菅長官は安倍総理とのキズナに感謝しつつ、安倍総理との違いを菅政権で発揮したいと考えているのではないかと。大いに期待したいと感じさせてくれる会見だった。
 そして、安倍総理の政治姿勢と人柄もこれにより理解出来る。この菅官房長官を第一次安倍政権から総務大臣として登用し、2次政権で官房長官を代えなかったのは、まさに学閥や経歴、さらには派閥にも関係のない、政治家として持ちうる矜持と、信頼できる人間性に惚れたからに違い無い。そういう意味において、日本の憲政史上に稀有な総裁引継ぎ連携となり、菅長官は必ずや安倍晋三という政治家をまだまだ重要な部分で重用するであろうと推測する。
 記者の嫌味な質問にも、淡々と水を飲みながら表情も変えずに答弁していたのが印象深い。最近の総理官邸での記者会見はまるで野党が質問しているかのような雰囲気になっており、日本のマスコミの問題点をここに感じる。世界に恥じるべきメディアと思うのは私だけだろうか。