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No.2875 ふるさと納税の実情

2017.04.20

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 すでにしばらく前に高市総務大臣から発表のあったふるさと納税に関わる話だが、行き過ぎたふるさと納税のあり方が埼玉県でも具体的な形で報道された。総務省は今後返礼の割合を30%以内にすることを示唆しているが、一昨日の読売新聞によると県内17市町が現時点で3割を超えていることがわかった。40%を超えるのは6市町で、うち羽生、幸手、白岡は人口が5万人台で県内人口最少ベスト3の市である。なにか共通する意向でもあるのだろうか。

 幸手市は47.2%で第3位にランクインしている。この事実は市民感情からすると素直に喜べない。ご承知のように幸手市は人口減少率や高齢化率で県内トップクラスで消滅可能性都市№1である。また、財政力指数を始めとする財政数値でもワーストランクにあり、ついでに言うと学力指数も同様でその実数値を公表しない数少ない自治体である。ついでの話は主役として今後登場願うことにするとして、返礼比率を高く設定することで寄付数が多くなれば、絶対寄付金額は増加することになるのは理解出来る。しかし、それにも限界があるだろうしデメリットもある。これはまさに自治体間競争を煽ることになり、本来の郷土愛の寄付とは言えない悪循環が増幅するだけだ。だからこそ、今回の総務省のお達しということになったものと思われる。

ファイル 781-1.jpg この制度のポイントである返礼品の選定と量および金額については、自治体トップの考え方が色濃く反映していると思われるが、寄付金の半分近くを特定の返礼品の購入にあて、それを継続することで寄付数と寄付金額が増加するのであれば、それはすなわち特定事業者との癒着や既得権益につながりかねない。善意の寄付金が首長のポピュリズム政治に変質する特質が問題視されることになるだろう。 
 私の周辺で時折この話題が出るが、人によってはふるさとではない街に寄付することで個人的価値観の高い返礼品を求める現実まである。つまり、100%善意の寄付とは言えない実態は、ふるさと納税の主旨からかなり乖離している現実がある。総務省はそうした状況を見かねたのかもしれないが、さて、県内17市町は今後どういった対処をするのやら。しかし、結局こうした制度限界による要求を国が発するこは始まってまもなく予測していたことではある。