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No.2855 子供心に残る名選手

2017.02.14

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 メルボルンの記憶は薄いが、ローマ、東京での活躍は子供心をワクワクさせてくれた選手。世界記録を何度も塗り替えるなど、距離的に万能タイプの自由形の名選手でしたが、オリンピックでは豪のローズ、コンラッズとのデッドヒートを繰り広げ、残念ながら金メダルをその首にぶらさげることは叶いませんでした。
 私はどちらかというとコンラッズに印象が残っているのですが、実際はローズにひとかき及ばず銀メダルという結果が多かったように思います。

 山中毅さん、78歳の人生に幕を降ろされました。オリンピックで初めて熱い思いで応援した選手、それが山中選手でした。
 強烈な印象として残る理由は、彼が能登出身だったということです。もちろん高校時代の山中選手はまったくと言ってよいほど記憶にないのですが、早稲田に入ってからも輪島高校出身というのは大会のたびに聞いていたし、大選手になってからも生い立ち紹介などでよく耳にすることでした。

 今でこそ死語になりましたが、当時は学校の授業で北陸や山陰地方を裏日本と称し、それはそれは雪深くて暗いイメージが自然と植えつけられる一面がありました。ですから水泳というスポーツに結びつかない地域の出身の山中選手がとりわけ強烈な印象として残ったのではないかと思います。
 中学2年の時、雪の秋田に行く機会がありました。当時の寝台急行十和田を利用しての旅でしたが、目が覚めた新庄あたりからずっと続く雪景色の車窓に、まるで異国の地に来たような思いがしたものです。その頃は、秋田と石川がリンクしていたんでしょうね。
 その翌年が東京オリンピックでした。自分の中では間違いなく最大のヒーローとして山中選手の存在がありました。女子バレーボール、チャスラフスカ、円谷選手、桜井選手、男子体操、レスリングなどにも興奮しましたが、山中選手はすでに実績も申し分ないものがありましたし、最も日本の期待を背負っていた選手だったように思います。
 時は刻々と歴史を刻み、未来へひた走る。忘れていたようで、訃報に接すると昔の記憶がよみがえる。山中選手、我が思春期に大いなる感動をありがとうございました。
 慎んでご冥福をお祈りいたします。

No.2845 稀勢の里ガンバレ!

2017.01.19

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 相撲が熱い! 日馬富士が取り組み中の怪我、鶴竜がらしくない不振で休場となり、大関陣は稀勢の里以外取り組み相手が殊勲のインタビューに出てくる回数を増やす役割になっている。しかし、こうも不甲斐ない大関陣に勝ったからといって殊勲と称するのはいかがなものかと感じる最近である。
 しかしながら、本割は正代、遠藤、御嶽海、荒鷲、他の力士たちによる熱戦続きで画面からも国技館の熱気が伝わってくる。画面では砂かぶりの観客が勝負のつく瞬間に口を大きくあけて歓声を上げている。これにつられるわけではないが、テレビの前で同じように歓声を上げる自分がいる。夜のダイジェスト版ではこうはいかない。やはりスポーツは決着の場面までライブで観るのが最高だ。

 昨年を思い起こすと稀勢の里の横綱昇進への期待が続いた年だった。1月場所からの優勝は、琴奨菊、白鵬、白鵬、日馬富士、豪栄道、鶴竜という経緯だったが、そのどこかの場所で稀勢の里が優勝していれば横綱審議委員会の議題にのぼっていたはずである。
 ところが、肝心な場面で自ら格下に取りこぼすことと、他に奇跡とも言える火事場のなんとやらを発揮する力士が毎場所いて、賜杯をさらっていく様子に甘んじる稀勢の里だった。とっかえひっかえ優勝力士が変わる形で稀勢の里は横綱昇進に待ったをかけられた。こうした流れにため息をつく国民がどれほどいただろうか。
 

 同じ大関の琴奨菊も豪栄道も優勝の翌場所は、規定に基づいて綱への昇進の期待をにぎわしたが、2場所続きの好成績は難しいのではないかという思いを密かにもっていた方が多かったのではないだろうか。そして、結果はやはりというものだった。琴奨菊などは今大関陥落の危機である。その琴奨菊に全勝を阻まれた稀勢の里に「またか!」の思いで漏れるため息は尋常ではなかった。
 そして昨年の12月場所では存在感が希薄だった鶴竜が奮起し久しぶりの優勝を勝ち得た。終盤戦の熱い星の奪い合いは稀勢の里の優勝への期待に盛り上がりを見せたが、ここでも彼は鶴竜にゆずるかのように準優勝に終わった。
 昨年の最多勝がその稀勢の里というのも皮肉なもので、さらに思うのは彼の優勝を阻んだ鶴竜の今場所の無気力さだ。横綱であればこそ連続優勝の期待も当然のものであり、筆頭横綱としての貫禄を白鵬に近づける最大のチャンスであったのに、多くの金星を配して休場となった。先場所の稀勢の里との熾烈な優勝争いの勢いはどこへいったのだろうか。

 
 さあ! 今場所は残す4日間、実際は再び白鵬との優勝争いになりつつあるが、これまで白鵬に優勝を阻まれた場所が何場所あっただろうかと考えると今度こそというのは本人もそうだが、全国の相撲ファンの想いだろう。
 運とチャンスを今度こそ掴みきって日本人久しぶりの綱を張って欲しい。
そして、魅力ある県47位の全国最下位という不名誉ランクを仰ぐ茨城県民のためにもふる里に熱気をもたらしてあげてもらいたいものだ。

 ガンバレ 稀勢の里!!!

No.2815 ドラフトの結果に歓喜

2016.10.20

 今日行われたプロ野球ドラフト会議で、花咲徳栄高校の二人の選手が指名を受けた。
 高橋昴也投手と岡崎大輔内野手。
 とくに岡崎くんは我が街幸手市出身なので、同郷地元として高橋君以上に注目度が高くなってしまうが、現時点では同窓同級で共に汗を流し、甲子園で力を合わせた仲間として均一に紹介したいと思う。

 
 まず、高校生投手四天王と評された高橋昴也投手。広島からドラフト2位指名。入団は間違いなく、引退する黒田投手の後釜としてローテーション入りも期待出来る実力派。140キロ台のスピードは安定しており、150キロが平常の領域に入る可能性もそれほど難しいことではないと感じさせる。
 私は、この高橋君を見てとにかくお尻がパンパンに張っているのに目を見張った。尻の大きな選手は大成すると昔から言うが、大きく羽ばたく未来を感じている。
 公表181cm83㌔、左投左打。四天王から誰が真っ先に一軍に上がるか。そして勝利投手となるか、今からワクワクする。

 続いて、人柄が素晴らしいと聞く岡崎大輔内野手頑張り屋さんで謙虚な性格だと少年野球時代から彼を良く知る人が言う。
 今季最下位のオリックスから3位での指名を受けた。

 オリックスは昨季ドラフト1位の吉田選手を後半クリーンアップで起用し、吉田選手も小柄ながらパワフルな打撃でその期待に立派に応えた。
 しかし、オリックスの現状が選手層の厚みに欠けるというのも大方の見方であり、それもあって、吉田選手は中盤ケガで出場機会を無くしながらも、復帰直後にかかわらず3番4番で起用されることになった面もあるだろう。そう言えば、この選手も太腿の太さは尋常ではない。

 岡崎君は公表182cm75㌔と若干細身なので、少し線を太くし、大人の身体に鍛えれば十分オリックスを支える選手になれるものを持っているように感じる。
 実は、私には岡崎君が元ヤクルトで名球会入りを果たし、WBCで主将に抜擢された宮本慎治さんと重なるのだ。雰囲気全体が彷彿させているように見えて仕方がないといった感じである。違うのは右投左打という点だが、前述した人柄という点において似ているとするなら、宮本さん同様無事是名選手として長く地味なチームにとって欠かせない存在になるやもしれませんぞ。

 高校からプロ入りする選手は、なにより純粋さを無くさない心構えが大切だ。165㌔大谷翔平選手がプロ野球界を変えるスーパーヒーローになりつつあるが、彼の素晴らしさは爽やかさにあふれているところではないだろうか。
 周囲が大騒ぎし過ぎることなく、明日からでも下半身を鍛え、アスリートとしてより逞しい身体を作り、入寮するくらいの気構えを皆で後押ししてあげたいものだ。

 ともあれ、二人の指名に喜びを隠せない私なのです。万歳!

No.2807 目頭が熱くなる場面

2016.10.01

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 まずは「とと姉ちゃん」。 最後の2日放送分にとりわけ涙した方が多かったことと思う。私もその一人だが、来週から見られなくなるかと思うとなんとなく寂しい。「べっぴんさん」ははたしてどうか? 

 さて、オリパラのメダルラッシュ、豪栄道の全勝優勝、広島、日ハムとペナントレースを制し・・・スポーツの盛り上がりに我を忘れさせられる日が多い。すでにウィンタースポーツのホットな結果も報じられている。
 スポーツ界も今年のはじめは巨人選手の賭博事件で暗く覆われたものの、やはりスポーツがなければ世の中暗いことばかりで気が滅入ることは間違いない。少々野球を中心にこの話題を。


◆フェルナンデス投手
 マイアミマーリンズ フェルナンデス投手急死に対するチームの対応の素晴らしさに感動。1試合中止しての全員同じ背番号による追悼試合、永久欠番・・・、なんだかんだアメリカを批判する声もあるが、こうした際にアメリカが一般的にとる対応は優しさにあふれている。そしてなにより早い。
 人道とかそういう難しい言葉を使う必要のない純粋さに満ちている。休日のバカンスでの出来事であれば、日本だとこれほど迅速な対応はしないであろう。死因はなんだとか確認し、万が一泥酔状態だったとかいえば逆に厳しい批判さえ出かねない。フリー、ダイナミック、ジェントリー・・・アメリカらしさに万歳。

◆田菊丸
 言わずと知れた広島カープのトップ3トリオの田中、菊池、丸。合わせて497本の安打と46本のホームラン、さらに盗塁64と他チームの投手を初回から翻弄しまくった3人。私はこの攻走守に秀でた3人をひとまとめでMVP表彰してもいいのではないかとさえ思っている。
 1985年横浜の高木、加藤、屋敷のスーパーカートリオは合わせて146盗塁の驚異的数字を残したが、優勝はバース、掛布、岡田の3人で129本塁打、343打点と、これまた驚きのトリオのいた阪神に凱歌があがった。
 昨今、ボールや球場の関係で本塁打が激減している中、相手投手に与える精神的負担を考えると、今年の広島のトップ3の壁はカープ躍進の原動力そのものだった。巨人に17.5ゲーム差をつけての4半世紀ぶりの優勝もこの3人の存在があればこそと言えよう。そして、黒田、新井が目立ちはしたが、今年の躍進広島を象徴する3人だった。

◆栗山英樹日ハム監督と二刀流大谷
 長島さんの名言、メークドラマを実現した今年の日ハム。
 栗山監督はもはや名伯楽の域に達しつつあると思う。大谷だけに限らず選手起用法に栗山魔術がふんだんに息づいている。結果としてバランス感覚に富んでいたことから夏場の15連勝も実現したものと思う。

 
 投手は11勝の有原以外に10勝投手が3人。そしてなにより、西川、中田、レアード、中島の2、4、7、9番はほぼ固定、他は選手の状況を見ての起用と、広島とは正反対の監督術を見せてくれた。3割バッターは西川の一人だけ、メジャー帰りの田中は本塁打2本と少なかったが、他の数値は安定した成績を残している。4番中田、7番レアードはそれぞれ打点と本塁打のタイトルを得たが、打率は2割5分、6分といった程度である。

 そこで、誰しもが思うのは、大谷の存在ということになる。
 10勝、防御率1.86、奪三振174、打率322、本塁打22、打点54、いやはや、どれをとっても歴史に残る超二刀流、大谷なしでは日ハムはAクラスも難しかったであろう。その切れ味は宮本武蔵を彷彿させるものであった???
 栗山監督は大谷が9勝目の後マメが出来た夏場、彼を3番に固定しローテーションからはずした。そこからの怒涛の逆転劇は栗山采配の真骨頂だった。
 そして優勝を決めた試合で大谷を先発させ1安打完封しかも1対0の試合を制すると同時に、最後の最後で大谷を二桁勝利に導いた。監督快心の采配はまさに大谷の今後を暗示しているかのようだ。
 今後?・・・メジャーの扱いはドライなので日本にとどまってできる限り栗山魔術のもとで二刀流への挑戦を続けてもらいたいが、メジャーでの彼も・・・栗山監督の人柄は、彼を心良く送り出してあげるだろうと思う。若者の夢と挑戦心を奪う権利は誰にもないと。

◆三浦大輔
 結局、最終年ひとつの勝ち星もないまま引退となったが、あの引退劇はハマの番長として愛され続けていた現れそのもの。横浜の街が大騒動、マスコミもこの引退を大々的に伝えていた。
 これで思うのは、ひとつのチームに最後まで貢献した選手に温かい最後が待ち受けているという事実で、FAで移籍した人気選手が華やかな引退を迎えることの難しさは非情でさえある。とくにFAの多い巨人はその傾向が強く、最近で見ると、小笠原しかり、おそらく杉内、片岡などもそういった形で終わるのではないだろうか。
 自らの商品価値を確認したいからとか、一度は巨人でなどという思考でFAに応じるのは、日本の風土になじまない面が強く、引退後も含めたトータルの野球人生において恵まれた例はひと握りではないだろうか。

◆畑岡奈紗
 実は、彼女がこの号のハイライトである。
 女子ゴルフ界で初となる記録が生まれた。日本女子プロトーナメントで、なんと17歳の高校生が並みいるプロを打ち破り優勝した。お母さんがキャディーを務めていたが、18番下り5mバーディーパットを沈め、親子で勝利を、それもビッグタイトルを掴んだ。親子のハグもお母さんの遠慮気味な感じがかえって周囲を感動に導いた。
 名前は、宇宙にはばたけということかどうか米ナサにちなんで付けたそうだ。宮里藍以上のスーパー高校生の誕生となった。

 スター選手が生まれるとファンの注目度が高まるのはどのスポーツも同じこと。
 スポーツの秋、まだまだ心打つシーンが続々といったところで、観る側もゾクゾクすることだろう。失礼いたしました!

No.2790 リオ五輪フィナーレ!

2016.08.22

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 リオ五輪がさきほどフィナーレを迎えた。 

 日本選手の劇的な躍動ぶりにドキドキハラハラの毎早朝であった。結果的には、引き込まれるように眠い目をこすりながら世界のアスリートの極限のプレーに釘付けになった。ちょっとの居眠りの間に試合が終わっていたりすると地団太を踏む場面もあるにはあったが、肝心な部分のライブは見逃さなかったのはしてやったり! 
 寝不足もなんのそのといった感じ、と言いたいところだが、実はその分他のことが手につかない日々だったように思う。昼間の集中力が酸欠になったのは反省点として残る。

 三宅宏実選手のディスク(分銅)ハグの銅メダルに始まり、41個ものメダルを獲得した選手団の皆さんと大会のすべてに「感動をありがとう!」という想いが真っ先に浮かぶ。

 印象深いことをいくつか挙げると・・・
◆確定的なことは言えないが、ドーピングを継続的に行ってきたと推測される国々?の不調が際立っていたように思う。
◆ここ数回のオリンピックで、入れ墨を入れた選手が男女ともに増えているように思う。超一流アスリートによるスポーツとタトゥーの結びつきが私にはどうにも理解できないのだ。
 幸いというのもなんだが、あのボルトには見える範囲ではそれが見当たらなかった。別に、そればかりを探しているわけではないのだが、自然と目に入ってしまうのは読者の皆さんも同様?
 ドイツの棒高跳び女子選手のそれは、抜けるような白肌だったせいもあって、肝心のバーは跳び越えられなかった反面、アスリートといった感じを跳び抜けていた。
 髪の毛の奇抜さも一人や二人ではなかったが、文化の違いと理解するしかないのだろう。
◆夜遊びの顛末を強盗ねつ造事件に転嫁したロクテもない選手がアメリカにいたが、ブラジル国民は傷ついたことだろう。アメリカでも最低ランクの評価がこの選手に与えられているという。当然のことと言える。
 こうしたハレンチ事件がオリンピックで話題になるのは珍しいが、大型移動カメラの落下事故で数人のケガ人が出た以外は、心配された政治的な事件もなく、私の心配も過多に終わった。
◆熱狂的な声援に沸いた中で、ヘイトに近いブーイングを健闘した選手に向けた地元ブラジルの心無い観戦者には残念な思いが残る。
 日本選手の活躍には中国、韓国でも一部同様のことがあったようだが、オリンピック精神の平和と友好がなおざりにされているのは考えものだ。
◆開会式も閉会式も南米らしい色鮮やかな構成に目を見張るものがあったが、コスト的には過去数回のそれと比較して低予算に心がけていたように感じられた。
 商業主義に変化したオリンピックだが、カネをかければいいものはできるが、カネをかけずにいいものを創るという思考チェンジのリオ大会ではなかったか。
◆プロ排除をモットーとしたブランデージ時代からかなりの時が経過したが、アマ精神をかなぐり捨てたオリンピックにもなんとか見慣れてきたと言ったら今更何だの話になるのだろう。しかし、ボクシングにまでプロ解禁となるとどうにも釈然としないのだが。
◆同時開催のように行われていた高校野球は作新学院2度目の優勝で終わったが、水泳400メートルメドレー金メダリストの萩野選手が同校の卒業生だというのも何かの縁なのだろう。
 ところがそれだけではない。作新学院の最初の優勝は54年前の1962年夏。ついでに言えば、同年春の選抜大会も優勝していたので史上初の春夏連覇という偉業だった。ともあれ、54年ぶりという半世紀越えの優勝だった。
 そして、この2年後に伝説の東京オリンピックが開かれている。
 となると2020年東京五輪は56年ぶりということになる。数字的には2年の違いがあるが、ただの偶然には思えない・・・偶然だろうか。
 リオで2回目となる東京五輪にバトンタッチされた前日に作新学院が優勝したのだ。何か感じるものがあると思うのもよしとしてください。

 15歳直前の中3で最初の、70歳の古希で2回目の東京五輪を体験することになる。生きて2度自国のオリンピックを味わうことができるなら、これほどの幸せもないと思う。すでに待ち遠しい気持ちになってきたのも、リオデジャネイロオリンピックが素晴らしい大会であったからに違いない。
 団塊の世代は、時代の変わり目や世界のセンセーショナルな出来事に遭遇しているありがたい世代である。

 1964年は五輪のために造られた大宮サッカー場(現Nack5スタジアム)でサッカーの予選を観戦した。
 2020年は、どこで何を見ることが出来るやら・・・。

 

No.2788 好調なメダル奪取の中で

2016.08.13

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 山部選手:銅  原沢選手:銀 そして今、錦織選手がBEST4を目指して奮戦中。やはりオリンピックは見る側の意識が変わる。熱い気持ちになるのは単一種目の世界選手権などとの比ではない。 

 日頃は目にすることのない種目まで興味というか好奇心に近いものを誘われる。カヌースラロームやアーチェリーなどはその例だろう。
 それがオリンピックというものなのだろう。
 ただ、ゴルフだけは毎週トーナメントが放映されているせいかどうか、オリンピックスポーツとしてのイメージが今一つわかず、気持ちが盛り上がらないのだ。皆さんはどんな感じでしょうか。

 早朝、柔道最後の男子決勝戦を見て感じたことだが、原沢選手の敗戦に対してアナウンサーが「原沢は柔道をさせてもらえませんでした」という感想を語っていた。まったく私も同感だ。
 開始早々、巨体を利して奥襟をつかむリネルの手を切る原沢が、いきなり指導二つ。するとその後のリネルは、逆に原沢の組み手を拒否し、まったく柔道という柔道をすることなく優勢勝ちで金メダル。
 つまり、ここに書いただけの内容以外に書くことがないような5分間の試合だったのだ。消化不良もいいとこだ。

 試合後に原沢選手が、「組ませてもらえなかったし、組んでもチャンスを生かせなかった」と語っていたが、組むシーンはごくわずかだった。
 リネル選手を称えるものの、真の強さを感じたような言葉はなく、組ませてもらえればという無念さにあふれていた。かたわらで歓喜の喜びを表現するリネルに「おめでとう」の感覚は見ている側にもわいてこない。

 組み手を拒否するがゆえに左右の手を握り合ったまま、道着を持つことがない柔道は、そもそも柔道と言えるのだろうかという思いは素人的と理解するしかないようだ。
 解説者もそれが不満のような言葉を発しつつも、こうした展開でリネル選手はトップの地位を保っているといった社交辞令に聞こえる弁を述べていた。

 原因は、試合途中で指導というポイントが入ると、そこから消極的な逃げの姿勢かつ見せかけの仕掛けに試合スタイルが変わってしまうことだろう。
 同じ人間が判断することなら、試合が終わるまで技以外のスタイルの部分については評価することをせず、優勢の判断はすべて試合後に、以前の3人ではなく9人くらいのジャッジ制にして勝敗を決する方式にすべきだと思う。
 こうした思いも、試合によっては後半2分ほどの柔道がまったく面白みに欠けるパターンが多すぎるからである。
 ポイントで勝る選手が、後半腰を45度に曲げたまま勝つなどというのは、見ていてスポーツ精神に反する感じで、勝利の意義があるのだろうかと思う。

 たった今、錦織選手がモンフィース選手とのまさに長時間の死闘に勝った。粘りに粘った汗握る試合展開にブログを書きながらもそわそわ。
 あっ、錦織選手が泣いている感じだ。次は前回ロンドンの勝者であるマレー選手で、過去の対戦は若干分が悪いが、大いに期待を持とうではありませんか。スポーツはこうでなくちゃ。
 でも、柔道も大好きなスポーツなんです。だからこそです。

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